第3話

2話:怜央との出会いー陽音ー
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2020/05/23 04:54
陽音side
怜央と仲良くなったのは、最近ハマりだした
競技かるたの話だった。
入学して1ヶ月たっても、怜央は1人だった。
一言、二言、話す子はいても、ずっと席に着いて
イヤホンで何か聴いてた。
1人でなんでもこなしてる怜央が気になって、
何度も何度も声をかけ続けた。
何度も話してるうちに、怜央もポツポツと
自分のことを話し出した。
大人っぽい見た目のせいで、近寄りがたく思われてること。おまけに口下手で人見知りな性格だから、中学の知り合いはいないし、孤立してたこと。
怜央
怜央
·····友達を作りたいのに、人の目が気になって、なかなか勇気が出なくて。いじめられてたわけじゃないけど、だんだん人と関わるのが、怖くなったんだ。
それから、お母さんが中2の時に病気で亡くなって、
今はお父さんと二つ下の妹さんと、父方の
おばあちゃんと暮らしているのも聞いた。
きっと、お母さんの訃報と重なって、もっと他人と
付き合うのが怖くなったんだと思った。
よく2人で行動を共にして、
行事という行事には、実行委員として参加した。
余計なお世話かもしれないけど、とにかく怜央には、人と関わる機会をたくさん経験してほしかった。
そのおかげか、だんだんクラスメイトも怜央と
話すことが多くなって、怜央も話すコツを掴めたんだと嬉しくなった。
そして、一躍、怜央が有名になったことがあった。
いつかの古典の時間。百人一首の授業で、
かるたをした。
トーナメント戦で、クラス1を競い合う。

もちろん、かるたなんて誰もがあまりやったことがなく、どこかみんなダルそうにやっていた。
だけど、怜央は違った。
普段とは違う空気をまとい、圧倒的差でどんどん
勝ち上がっていた。
陽音
陽音
すごいじゃん!怜央!かるたとかしてたの?
怜央
怜央
·····小4から、競技かるたしてたんだ。
趣味で·····
陽音
陽音
私もね!最近ハマりだしたんだよ、競技かるた!すごいよね。あんなに神経使うんだもん。スポーツかと思ったよー
週に何度か、怜央の家にお邪魔して、かるたをした。スポーツ以外でこんなに楽しいって思えたのは、競技かるたが初めてだった。
こうして、私は怜央と仲良くなった。

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