第4話

3話:2年生
465
2020/05/23 06:22
今日から、2年生。
そろそろしっかりと進路を決めなくちゃいけない。
怜央
怜央
おばあちゃん、行ってきます
おばあちゃん
気をつけてね
おばあちゃんに声をかけて、家を出る。
いつものように、陽音が自転車を持って待ってた。
陽音
陽音
おはよ!あれ?香奈絵ちゃん、朝練?
怜央
怜央
うん。大会が近いから、1時間でも多く練習するって言って。
高校までは、私の家から徒歩15分弱。
中学は自転車で30分だったから、2分の1も違う。
陽音
陽音
ね、今日放課後空いてる?
怜央
怜央
うん。どうしたの?嬉しそうだけど
朝イチなのに、元気溢れる陽音を少し不審に思う。
まだ1年しか過ごしてないけど、突拍子もないこと
言い出しそうな雰囲気。
陽音
陽音
ふふっ。ナーイショ!
そうこうしてるうちに、学校に着いた。
クラス表を見ると、2年2組。
怜央
怜央
·····私、2組だった。陽音は?
陽音
陽音
私3組ー。離れちゃったよー!絶対会いに行くからね!
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クラスに行って、自分の席に座る。
私の席は前から4つめ。縦は6列ある。
怜央
怜央
(·····前、男子だ·····上手く話せるといいけど·····)
何か通じたのか、前の席の男子が、クルっと私の方を向いた。
木下久志
·····君さ、かるた強い子だよね?
けっこー有名人だよねー
怜央
怜央
·····そ、そうなんですか?
身構えて、緊張した体は、意外な質問で解けた。
木下久志
あ、突然ごめん。俺、木下久志。
怜央
怜央
·····崎村怜央·····です
木下久志
怜央って、なんかかっこいい名前だな
怜央
怜央
あ、ありがとうございます
ペコッとお辞儀すると、笑い声が聞こえた。
木下久志
敬語じゃなくていいよ。気楽に話そ
怜央
怜央
は、はい…よろしくね、木下くん
びっくりした·····
男子から話しかけられたの、小学校以来だ·····
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放課後
陽音
陽音
怜央、誰かと話せた?
陽音が心配そうに聞いてきた。
私は控えめにうなずく。
怜央
怜央
うん·····前の席の、木下くんと、少し話したの。
陽音
陽音
やったじゃーん!あ、聞いてよ。うちのクラスに西谷ってヤツがいてさ、すごいテンション高いんだよ
怜央
怜央
へー
怜央
怜央
·····ねえ、体育館に行ってるけど、何か用あるの?
陽音
陽音
影山くん、覚えてる?その子が烏野に来てて、バレー部入ってるんだって。で、ちょっと様子見に行くの!·····あれ?
体育館前に誰かいる
先頭を歩いてた陽音が止まって、後ろをついて行ってた私はボフンと背中にぶつかってしまう。
鼻を抑えて陽音の後ろからその体育館前にいる人を
見ると、オレンジ髪の男子と、黒髪の男子がいた。
·····ん?オレンジ髪の男子·····
怜央
怜央
·····あー!日向くん!
日向翔陽
·····え?
やばい。大声で言ったから、振り向いちゃった
陽音
陽音
影山くんだー!
影山飛雄
·····ウッス
隣で、陽音も大声で叫んでた。
陽音に手を取られて走って向かう。
陽音
陽音
去年の試合、北川第一と雪ヶ丘見たの!やっぱバレー部入るんだね!
怜央
怜央
ちょっ·····陽音。困ってるよ。
落ち着いて
キョトンと私たちを見てる1年生。
日向くんと影山くん。
怜央
怜央
あ、突然ごめんなさい。私、2年の崎村怜央と言います。隣にいるのは、同じ2年の松川陽音です。
陽音の分も紹介して、日向くんにお辞儀する。
陽音は日向くんそっちのけで影山くんと話してる。
日向翔陽
せ、先輩·····
怜央
怜央
あの、どうかしたんですか?部活、
始まってるんじゃ·····
日向翔陽
ちょっと·····いろいろあって。あのっ、初対面ではありますが、チームメイトの資格ってなんですか!?
怜央
怜央
·····え?
チームメイトの資格って·····
陽音
陽音
あー、なんか、教頭のカツラぶっ飛ばしちゃったみたいでさ、影山くんと日向くん、出禁になってるんだと。
陽音が話し終えたのか、私の隣に戻ってきた。
教頭先生のカツラを·····
影山飛雄
·····松川先輩、まだバレーしてるんスか?
陽音
陽音
ううん、今は調理部。料理の腕磨きたくてさ。あ、お兄ちゃんが影山くん心配してたよ。
影山飛雄
なんかすみません·····
怜央
怜央
·····影山くん、陽音と知り合いなんですか?
中学一緒なのは知ってるけど、男子バレー部と
女子バレー部って接点あるのかな?
影山飛雄
松川先輩のお兄さんがバレー部で、俺の先輩だったんス。
怜央
怜央
そうなんですね
と、話していたら、綺麗な女の人が
そばに立っていた。
怜央
怜央
(口元にほくろ·····色っぽい
美人さんだ·····)
清水潔子
そこ、通してくれる?
陽音
陽音
コソッ清水潔子先輩·····美人で有名な人だよ
怜央
怜央
コソッそ、うなんだ
突っ立っていると、清水先輩はこっちを見ていた。
怜央
怜央
(顔·····どっか変!?)
清水潔子
そこの女の子2人、ちょっとおいで
怜央&陽音
はっ、はいっ
清水先輩はガララッと扉を開けて、中に入ろうとしている。と、坊主頭の人が駆け寄ってきた。
田中龍之介
潔子さん!お疲れ様ですっ。
荷物お持ちします!
清水潔子
いい。自分で持っていくから。
田中龍之介
潔子さん、今日も美しいっす!
グイグイ話しかけてる坊主頭の人。
清水先輩はスルー
田中龍之介
·····ガン無視興奮するっす!
って、女子が2人!?
坊主頭の人がこっちに気づいて、目が合った。
すぐに陽音の後ろに隠れる。
清水潔子
気にしないで。いつもだから。
さ、中へどうぞ
怜央&陽音
は、はい
私たちが入ると、扉は閉められた。
·····日向くん、影山くん、大丈夫かな?

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