第35話

北先輩の場合
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2021/03/27 22:00

北side




俺はばあちゃんにご飯を作るため、スーパーに来ていた。


そこで、野菜コーナーで、見てしまったんや。






治「思い知らせる」



あなた「思い、しらせる……?」





聞き覚えのある声がした。



いつも侑と喧嘩をしている治の声と。






夏休み中、ずっと聴きたかった綺麗な澄んだ声。





陰から顔を覗かすと、やはり治とあなたがいた。




治はあなたにどんどん近づいていって、顔が触れそうになって___________













思わず、逃げた。




なんでか知らんけど、その場を見ていられんくなって、他のコーナーに逃げてしまった。




何でや?何で2人が一緒におるん?




珍しく頭が混乱したが、答えはすぐに出てきた。




恋仲、か。



そうなんやったら、こんな時間まで一緒におるのも無理はない。




やったら、あの時__________。





俺があなたのほおに触れた時、治は気分も良くなかったんやろうなぁ……。




悪いことしてしまったわ。




今後一切、出来る限りは彼女に近づかないようにしたほうがええんやろか。




その考えに納得し、俺は買い物を進めた。






納得できたはずやのに___________胸が、苦しい。








北「……気分悪いんやろか。早う帰らなな」






家に帰った後も、その苦しみはあまり変わらなかったのだが。








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