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北先輩、こんにちは。
2年の夏川です。
侑くんと同じクラスなんですけど…いきなりですみません!
廊下にペンがおちていたんですけど、そのペン、北先輩のものみたいで…。
ここに置いておきます。
バレー頑張ってくださいね!
夏川
ーー
あなた「こんな感じ…?」
侑くんが盗んできた北先輩のペンをノートに挟む。
きっかけはちゃんと作ってくれた。
ここから、会話が続くかどうか…。
侑「早速書いてくれてるんやな」
ひょこっと顔を覗かせた侑くんに、ビクッと肩が跳ねる。
あなた「う、うん…!書き終わったよ!」
はい、と彼にノートを渡すと、彼はまたニカッと笑ってくれた。
「侑くんがわろてる…」
「かわいすぎ!」
「ってか何なのあの子…」
ひいっ…!!
視線が!!怖い!!
侑「…コイツに、んな視線向けんなや」
侑くんはぎろりと彼女らを睨むと、またこちらに視線を戻した。
あれ、笑顔に戻ってる。
侑「これ渡しとくけんな!」
あなた「うん…」
彼はニコッと笑うと、ノートを持って廊下に出て行った。
放課後。
帰ろうとしたら、下駄箱の中にあのノートが入っていた。
中を開いてみると、まさかの…
ーー
夏川さん、ありがとうな。
侑が迷惑かけてへんか?
面と向かってお礼が言いたい。
放課後、空いてたら体育館に来れるか?
北信介
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一つ一つの文字が丁寧に書かれた綺麗な文字。
ご丁寧に返事が書かれてた…!
ノートに返事が来ることって、こんなに嬉しいことだったのか!
私はそのノートを抱え込んで、体育館に向かった。
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読んでくださりありがとうございました!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!