第41話

3人の王子様?
714
2021/04/10 22:00

長い長い夏休みが終わった。


私の教室は、「宿題終わったー?」「この前プールでさぁ!」と、楽しそうな声が行き交っている。



あの時__________北先輩に誤解された時。


もっと強引に止めて、気持ちを伝えればよかった。


もしそうしてたら、今、こんな虚無感に襲われていない__________



侑「……あなた!おはよーさん」


あなた「わあっ!?」



肩をポン、と叩かれ、思わず飛び上がった。


あなた「おはよ…侑くん。この前はありがとう」


侑「ん?あー、こちらこそ。めっちゃ楽しかったで。あと……ちょっと気になる事があんねん」


あなた「気になる事?」




侑「北さんがな、いつもと違うねん」



あぁ、その名前を今聞きたくなかった。


北先輩がいつもと違うこと、もう原因は分かっている。



あの時、私が治くんといたからだ。


治くんは稲荷崎の大切なウイングスパイカーで、その存在をどこかの女に取られた。


そんな事があったら、バレーを頑張っている北先輩も怒るはず。


語彙力がないから説明しづらいけど、簡単に言えばそういう事なのだ。



侑「……で、あなたがなんか知らんかなって考えたんやけど…」


あなた「…ごめん。分かんないや」



ごめんね。今は喋りたくないの。


もう一言でも発したら、泣いてしまいそう……。




好きな人に、嫌われちゃった。



恋する人からすれば、それは絶対にあってほしくない事。


でも、私は……それに直面した。



もう私は、彼に近づいてはならないのだ。



あなた「………」



侑「バカか?」


あなた「…はい?」


いきなりバカとか言います?普通。



侑「北さんがおかしいんがお前のせいなんて事、とっくに知っとるわ!ただ、お前が思っとる理由とちゃうで」


あなた「違うの……?嫌われてない…?」


侑「はぁ?何言うてんねん。お前を嫌う奴はセンス悪すぎやって俺が怒ったるわ。なんせ、俺とサムと角名が好きになった奴やで?めっちゃいい女やん」


ベタ褒めされて、頬がポッと赤く染まった。


そして、近くで話を聞いてしまった女の子が________




「ええええ!?侑くん、この子のことが好きなの!?」



生憎その声はかなり大きくて、クラス中に響き渡った。


皆がこちらに注目し、コソコソと話を始める。




見られてる……皆から?


頭がぐらぐらと揺れる。気持ち悪い。



あなた「はっ、はっ……」



息がうまく出来ない。


皆の視線が






怖い。



やだ、見ないで。息が、苦しい……っ!





??「大丈夫や」



そっと、肩に大きな手が触れた。



??「保健室行こ」


??「早く行くで」


今度はまた違う声。


マスク越しに口を押さえながら後ろをチラリと見ると……そこには、私を好きだと言ってくれた3人組。


角名くんが発作を起こした私をゆっくりと抱え込み、そして抱き上げた。


治「お前いいとこ取りやん」


侑「角名もお前にだけは言われたくないやろ」



文句を言い合いながら、彼らは、私を保健室まで運んでくれた。








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