第4話

初めての会話
1,054
2021/10/29 23:37

体育館の中からは、シューズの擦れる音やボールの音が聞こえてくる。


北先輩って、侑くんと同じバレー部だったのか…。


重そうなドアを、踏ん張って開ける。



あなた「失礼しま…」


侑「あなた!あ、ヤベっ!!」


治「バカっ!」


双子の治くんが注意したときには、すでに遅く…。






ボールは、いつのまにか目の前にあった。





目の前に、影ができる。



その影は、ボールを突き飛ばして…




そのまま、地上に降り立った。




??「…あの双子、良い加減にしてくれへんやろか」



あなた「…え」



目の前に立っている、背の高い男の人。


侑くんよりは低いけど、威厳を感じて大きく見えてしまう。



侑「すんまへん、北さん…!」


北「謝んのはこの子にやで」



北、さん?



この人が、北先輩!?



北「ん?そのノート…」



あなた「あっ…夏川、です!どうも…」


北「ペンありがとう」


無表情のまま言われたお礼。


でも、それがちょっと嬉しかった。



気づけば、双子は私の近くにいた。


侑「ほんまにごめん!」


治「もっと警戒心持てや夏川」


侑「その言い方ないやろ!」


治「何や、ツムが女子庇うなんて珍しいな。あ、まさか夏川のこと」


侑「ちゃうわ!クラスメイトやからや!」


北「2人とも」


宮兄弟「…スンマヘン」


あなた「いやっ、全然大丈夫、」


北「夏川さん、気にせんでな」


あなた「いえ…北先輩、庇ってくれてありがとうございます」



ペコリと彼にお辞儀をする。


侑「…なぁあなた、お前、何でマスクしてんの?風邪…じゃないよな」


うげ、。


触れないで欲しいんだが。


あなた「いや、あの、これは、」


顔に熱が集まっていく。



??「…女子には触れないで欲しいこともあるんじゃないの」



新しく聞く声。


侑「…角名!」


す、な…?



私の後ろに立っていたのは、吊り目の男の人。


あなた「あ…角名くん」


隣のクラスの子だ。


喋ったことないけど…。



あなた「…ありがとう。角名くん」


角名「ん」



それだけ言って去っていく角名くん。


私も、そろそろ帰ろうかな…。



あなた「あの、失礼しました」


北「あ、うん、気ぃつけてな」


あなた「はい」


それだけの会話をして、私は体育館を出た。








治「…ツム、やっぱりお前アイツのこと好きなんちゃう?」


侑「んなわけあるかい!まさかサムこそ好きなんちゃう!?」


治「…そのまさかやけどな」


侑「嘘やん」


治「嘘ちゃうわ。俺が好きになったんやから、お前も好きかな思たんやけど」


侑「…俺、お前に嘘はつけへんのやな」


北「…ほら、早よ準備せぇ」



双子「スンマヘン」












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