治「あなた寝てしもたやん」
角名「どうする?」
侑「……あの人、呼んでええんちゃう?」
治「授業中やで、来るわけないやん」
侑「……寝顔でも見とくか?」
角名&治「「賛成」」
あなたside
授業終了のチャイムが鳴り、はっと意識がもどってきた。
んー……寝ちゃってたか。ちょっと寝たらスッキリしたかも。
あの人たち、そろそろ戻ったかな。
目、開けたいけど……今、開けてはいけない気がする。
なんか、嫌な予感。
でも、開けないと起きれないし…。
と、謎の勇気を振り絞ってパチリと目を開けると。
あなた「!?」
角名「あ、起きた」
あなた「起きた、じゃなくてですね!!何で写真撮ってるの!?バカ!……って、双子は?」
角名「そろそろ帰らないと怒られるって。あの2人、いつも補修組に含まれる輩だから」
あぁ……なるほど納得。
あの課題を見れば分かる。勉強中の彼らは、「こんなん将来使わへんやん!!」が口癖である。
あなた「角名くんは?」
角名「……そばに居て欲しいんじゃないの?」
は!……数刻前の私、そんなことを言ってた気がする。
んー、でも体調もだいぶ良くなったし、今は、大丈夫なんだけどな。
と言いたいところだが、折角居てくれるのならそっちの方が嬉しかったりもする。
だから、私は何も言わないことにした。
初めましてお嬢さん、西の国から___________
急に音楽が流れてきて、びくりと跳ね上がった。
角名「あ、ごめん、着信」
そんな爽やかな曲が着信音なの…?歌ってる人、地味に角名くんと声似てるし。
角名「何?……あぁ、了解。本当はやだけど。…分かってるって。仰せのままにー」
煽った口調でそういうと、彼は画面をタッチして電話を切った。
あなた「どうしたの?」
角名「あー……客。夏川に」
あなた「私に……?」
角名「ん。俺は会わせたくないんだけど……」
なんとなく歯切れの悪い角名くん。
彼は、私が『その人』と会うのを拒んでいるようだ。
正直________少しだけ、期待している自分がいる。
もし『その人』が北先輩ならば___________なんてね。
考えれば考えるほど無駄か。
角名「俺は戻るから。……あなた」
あなた「ひゃいっ」
唐突な名前呼びに、返事が変になった。
角名「……何かあったら助けを呼んで。お願い」
あなた「……?うん」
彼はまだ私を心配しているようだ。何を心配しているのだろうか。
角名「じゃあ、行くから」
あなた「う、うん」
彼は、まだ納得がいかないかのような顔をして、保健室を出て行く。
あんなに心配するって…怖いな。ちょっと。
不安を抱きながら誰が来るのだろうと待っていると、唐突にドアが開く音がした。
誰だろう、北先輩だったらいいな……なんてね。
でもその人は、
??「あなたが夏川さん?」
全く知らない、女の子だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。