第44話

花崎さん
742
2021/04/17 22:00

その女の子は、無礼も知らずズカズカとこちらにやってくる。


その容姿に、見惚れた。



金髪をくるりとカールしたロングヘアに、極限まで短くしたスカート。


さらに完璧すぎる化粧という、まるでお人形さんみたいな見た目。


女の私からしても、彼女の見た目は完璧であった。



あなた「えーっと…?どちら様で、すか?」


??「花崎あいら。私を知らんの?ありえへんわほんま」


花崎さんは初対面にも関わらずつっけんどんな態度をとってくる。


私のちょっと苦手なタイプ…かもしれない。



でも、こんな美人さんが、私に何の用で…?




花崎「あなた……バレー部の方々と仲良いよね?」



その言葉を聞いた瞬間、サーッと血の気が引いていく感覚がした。


そう、稲荷崎の男子バレー部は、人気でモテる人達がかなり多い、と評判なのだ。


まぁ、私はもちろんそれが目的でつるんでいるわけではない(←逆につるまれている)。


彼らと距離の近い私をよく思わない人も少なくはないと思う。



あなた「それ、は、そうだけどっ」


花崎「私たちがどんな気持ちで居たと思ってんねん。どんなに努力をしても彼らには近づけへんかったたのに。何であんたは努力もせんで告白なんかされてんの!?」



その言葉に、心臓がドクンと跳ねた。



だって、公共の場で告白されたのは角名くんだけ。


侑くんと治くんは、電話で言われたから、誰にも聞かれてないはずなのに…。



あなた「何で、知ってるんですか…?」


そう聞くと、彼女はハッとして、バツの悪そうな顔をした。



花崎「…何でもない。とにかく、私はあんたがムカつくんや!私の好きな北さんまでとられて!!」



え……?



今度こそ、本当に血の気が引いた。


この可愛い女の子は、北先輩のことが好き。


地味で取り柄のない私も、北先輩のことが好き。


この紛れもない事実に、どう対応しようか。



いや……対応なんてできない。対抗策なんてない。



こんなに可愛い女の子に、私が勝てるわけないじゃん……。



諦めます。



そう言いたかった。


先に白旗をこちらからあげておけば、傷つくこともないかな、なんて思ったのに。



声が掠れる。やけに寒い体とは裏腹に、目頭は熱くなって、目の前が歪んだ。




花崎「北さんは私がもらうから。手、出さんでね」



あなた「……はい」



そう言わざるを得なかった。



あんなに好きと言ってくれて、でも応援してくれた人たちに申し訳ない。


私の初恋は、あっけなく終わったんだ。



私の小さな返事に、彼女は「いいわ」とだけ言うと、スマホを取り出し、誰かに電話をかけ始めた。



花崎「……おっそい!!早く来いよスナ!!」



あなた「…す、角名……?」




どういうこと……!?








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読んでくださりありがとうございました!


もう最終回まで近づいて来てますね…最後まで、よろしくお願いします!

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