あなた「好きです!」
花火の音にかき消された私の告白。
彼は、こちらをゆっくりと振り返り、小さく首を傾げた。
北「…ん?何や?」
やめて、そんな優しい目をしないで。
再度気持ちを伝えられない自分が情けない。
私は小さく笑って、夜空を指差した。
あなた「…今の、。綺麗でしたね」
北「…あぁ。ほんまやな」
目頭に熱が溜まっていくのに気づいて、上を向いた。
あなた「ふぅー…っ」
そうしていないと、涙がこぼれそう。
好きです。
精一杯出した勇気は伝わらなかったけど。
多分、この日は
きっと、忘れられない__________
角名side
北さんを追いかけて行った夏川。
その顔が物語っていた。
『私、北さんが好きなんだ』って。
告白、したかな。
「頑張れ」って、言えばよかった。
たった一言、それだけなのに。
角名「何で言えないんだよ……」
応援したくないと思った。
北さんの方が何でもできる。
隠れて女子にも人気だ。
北さんには敵わない。
でも何故か、北さんと張り合いたくなる。
これは、夏川と会ってから考えるようになったこと。
あいつ、不思議な魔法でも使えんの?
…………なんて。
もう誤魔化すのはやめだ。
もうこれは、認めるしかない…けど。
夏川、もう告白したんだろうな…
悪い雰囲気はなかったから、多分2人は付き合い始めるだろう。
これは、自覚するのが遅すぎた罰だ。
はぁ………
1人で立ち尽くしてる俺、かっこ悪。
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読んでくださりありがとうございました!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。