ーたっつんsideー
ニンゲンだった時の記憶は殆ど無い。
俺の記憶力が無いのも1つやけど、そもそもニンゲンだった時間が短すぎたんよ。
たしか、俺が五歳の頃の話なんやけどな。
住んでた村が吸血鬼に襲撃されて、めちゃくちゃにされたんよ。
俺ん家が襲われた時な、父さんが言ったんよ。
って。俺は嫌やった。
でも、考えがまとまった時には自分も吸血鬼にされててん。おかしな話やろ?
ま、そんなことはどーでもええねん。
その人(?)優しかったんかな?俺が村に行きたいって頼んだ時、連れていってくれたんよ。
俺は嬉しくってな、友達のところにいちばん先に行ったんよ。
俺は何も変わっとらん。せやから、みんなも前と同じように接してくれると思ってた。
現実、そう甘くは無いよな。
みんなみんな俺のこと『化け物は近寄んな』とか言って。
家族ならって思って家に帰ったら、父さんも
って言って怒ってたし。
裏山に逃げ込んで泣いてたら、父さんたちが来て
って言ってくれたんよ。
せやから俺も許して前と同じように暮らそうとした。
でも、父さんたちは俺のこと虐待しだしてん。友達だった奴らも一緒になっていじめてくれた。
俺の目は使い物にならんくなった。
そんな暮らしが暫く続いたある夜、みんな寝とる時に誰かが来たんよ。
そいつは
って言うてた。
どっちにしろ行き場の無かった俺はそいつに着いて
行くことにした。
そいつは言った通り、俺に辛い想いなんてさせなかった。変に言うと、させてくれなかった。
俺の体は大きなったけど、目が治ることはなかった。
__________To be continued
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!