深澤side









渡辺「秋はどこですか」



急にそんなことを言い出す翔太



滝沢「その様子だと、知ってるんだね」



なんて訳の分からないことを言いながら


机の中から一枚の写真を取り出す



『は？』

阿部「え、」

向井「どうゆうこと？」



滝沢君が机の中から取り出した写真は


目黒と秋がキスしている写真


混乱した頭をもっと混乱させてくる



渡辺「は？」



かと思えば、隣から


聞いたこともないような低い声が聞こえる



渡辺「説明しろよ」



明らかに怒ったような声でそう言う翔太に


目黒は黙ったまま何も言わない



渡辺「どうゆうこと、お前ら付き合ってんの？」



そんな翔太の問いかけに



目黒「俺が一方的にキスしただけです、」



そう言い切る目黒


舌打ちをして顔を手で覆う翔太



『ごめん、意味わかんないんだけど、』



何から何まで、


あまりにも意味がわからない


そんな俺に、また滝沢くんが口を開く



滝沢「夢野はジャニーズにいてはいけない存在だったんだよ」



何も言わないまま滝沢くんの方を見た



滝沢「夢野秋は女だからね、」




それだけ言うとまたにこっ、と笑う


声も出なかった。


こんな状況で嘘なわけはないし、


それでも、ありえないと思った


メンバー達も驚いた顔をしていた


翔太と目黒以外は、


その後に全て聞かされた


ジャニーさんが秋のことを助けたことも


ジャニーさんが秋に「男装してジャニーズに入らないか」と誘ったことも


滝沢君と秋が「バレたら即退社」と言う約束を交わしていたことも


全部、全部、



滝沢「だから、俺は約束を守っただけ。そもそも女性がジャニーズにいることがおかしいからね、」



そんなことを言う滝沢君には


何も言い返すことが出来ない



『秋はどこにいるんですか？』

滝沢「俺も知らない」



素っ気ない返事だけど


この一言で全てがわかった、


頭の中で混乱してたもの達が


ひとつになってやっとわかった


つまり


「秋にはもう会えない」


ということだ


「全て知った時にはもう遅い」


そんな言葉の意味がわかった気がした


秋のとこを全て知った時にはもう遅い


隣にいなければどこにいるかも分からない


もう一生会えないかもしれない


やっと理解できたはずなのに


頭の中は真っ白だった


気づけば楽屋に戻ってきていて


翔太と目黒からも全部聞いた


2人は知っていたことも


秋がずっとひとりで隠して来たことも


秋のことを、何も知らなかった


同期だからってなんでも知ってる気になってただけ


「俺がその事知った時にはもう、何も出来ないとかもう、隣にいないとか絶対に無しな」


いつか交したそんな約束も


守らずに彼は俺の前から消えていった


最後の最後まで何も言わずに