第52話

50.
18,821
2021/10/16 09:17





靴を履いて、レッスン着に着替える


そんな中、部屋のドアが空いた


入ってきたのはその先生だった


みんなで頭を下げて、挨拶をする


先生は厳しかったり怖いだけではなく


俺らに対しての態度も悪い


挨拶は全部無視するし


理不尽なことばかり言うから


好かれていないけど、ダンスの腕前は


本物だった



深澤「今日はお願いします」

_「うん、てかもう始めれる?」



いつもこうだ、全部自分のペース


でもみんなもう慣れてきたから


すぐに鏡の前に並ぶ


そして、いつも通りハイペースの練習が始まる


短い休憩が入る度に肩で息をして


少しでも落ち着こうとするが


休める訳もなく


休憩も短く水もちゃんとのましてくれないまま


生理痛だけがどんどんと、酷くなる


ほんとに死ぬんじゃないか


のんて思いながらも、


頑張ってみんなについて行くしかない



_「ちょっと1回音楽止めて」



なんだろうと思いながら


少し息を整えたあと顔を上げると


目の前には、先生が立っていた



_「君さ、やる気あんの?」

『すいませんっ、』

_「グループなんだからさ、1人が崩れたら全部ダメになんの、それぐらい分かってやってくれるかな」

『すいませんっ、気をつけますっ、。』



俺がそう言って頭を下げれば


舌打ちをして元の席に戻ってく


喋っただけでも怒られるせいで


さっきからずっと心配そうに俺の方を見てくる阿部ちゃんに


無理やり笑顔を作って頷いておいた


それでも、痛いものは痛いし、


どんどん息がしずらくなってく



野川「はい、じゃあもう1回最初から通すから早く最初の位置戻って」



そう言ってまた初めから音楽が始まる


でも、もう無理だった


音楽の途中で止まって、その場に座り込む


どれだけ大きく息を吸っても


空気が入ってこない



阿部「秋っ、!!!」



座り込んで肩で大きく息をしている俺の隣に


来て背中をさする



『ごめっ、ん、だいっ、じょうぶ、だから、』

阿部「バカじゃないの、なんでこんな時まで嘘つくの」



そう言って俺を軽々と抱き上げて


近くのソファーに下ろす



_「ちょっと、俺まだ休憩していいって言ってないけど、」

阿部「いやっ、」

渡辺「は、?見ればわかるだろ、辛そうにしてんじゃん、」



阿部ちゃんの言葉を遮って


そう言い出したのは翔太だった


それから、ソファーの隣まで来て


俺の顔を覗く



渡辺「大丈夫、?」



俺が、大丈夫、なんて答える前に



渡辺「なわけないよね、」



なんて、それだけ言って


俺の頭を撫でたあと、また立ち上がる


少しだけ、かっこいい。


なんて思ってしまった。




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