靴を履いて、レッスン着に着替える
そんな中、部屋のドアが空いた
入ってきたのはその先生だった
みんなで頭を下げて、挨拶をする
先生は厳しかったり怖いだけではなく
俺らに対しての態度も悪い
挨拶は全部無視するし
理不尽なことばかり言うから
好かれていないけど、ダンスの腕前は
本物だった
深澤「今日はお願いします」
_「うん、てかもう始めれる?」
いつもこうだ、全部自分のペース
でもみんなもう慣れてきたから
すぐに鏡の前に並ぶ
そして、いつも通りハイペースの練習が始まる
短い休憩が入る度に肩で息をして
少しでも落ち着こうとするが
休める訳もなく
休憩も短く水もちゃんとのましてくれないまま
生理痛だけがどんどんと、酷くなる
ほんとに死ぬんじゃないか
のんて思いながらも、
頑張ってみんなについて行くしかない
_「ちょっと1回音楽止めて」
なんだろうと思いながら
少し息を整えたあと顔を上げると
目の前には、先生が立っていた
_「君さ、やる気あんの?」
『すいませんっ、』
_「グループなんだからさ、1人が崩れたら全部ダメになんの、それぐらい分かってやってくれるかな」
『すいませんっ、気をつけますっ、。』
俺がそう言って頭を下げれば
舌打ちをして元の席に戻ってく
喋っただけでも怒られるせいで
さっきからずっと心配そうに俺の方を見てくる阿部ちゃんに
無理やり笑顔を作って頷いておいた
それでも、痛いものは痛いし、
どんどん息がしずらくなってく
野川「はい、じゃあもう1回最初から通すから早く最初の位置戻って」
そう言ってまた初めから音楽が始まる
でも、もう無理だった
音楽の途中で止まって、その場に座り込む
どれだけ大きく息を吸っても
空気が入ってこない
阿部「秋っ、!!!」
座り込んで肩で大きく息をしている俺の隣に
来て背中をさする
『ごめっ、ん、だいっ、じょうぶ、だから、』
阿部「バカじゃないの、なんでこんな時まで嘘つくの」
そう言って俺を軽々と抱き上げて
近くのソファーに下ろす
_「ちょっと、俺まだ休憩していいって言ってないけど、」
阿部「いやっ、」
渡辺「は、?見ればわかるだろ、辛そうにしてんじゃん、」
阿部ちゃんの言葉を遮って
そう言い出したのは翔太だった
それから、ソファーの隣まで来て
俺の顔を覗く
渡辺「大丈夫、?」
俺が、大丈夫、なんて答える前に
渡辺「なわけないよね、」
なんて、それだけ言って
俺の頭を撫でたあと、また立ち上がる
少しだけ、かっこいい。
なんて思ってしまった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。