第179話

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2021/12/18 11:55





部屋に入れば懐かしい天使みたいな寝顔



『ラウール、起きてっ、!』



そう言いながら肩をトントン、叩くと



ラウ「阿部君、あとちょっと」



なんて言って寝返りをうつ


その後、ゆっくりと目が開いて、目が合う



ラウ「えっ、!?」



それから、目をまん丸にして私の顔を見る



『ごめんね、阿部ちゃんじゃなくて』

ラウ「え、ずっと、?」

『ん、?』

ラウ「今日からまたあなたちゃんがずっと起こしてくれるの、!?」



目をきらきらさせながらそう聞いてくるから


「そうだよ」と返せば



ラウ「やったぁ、!!」



なんて言って


大袈裟な程に喜んでくれる



『そんなに?』

ラウ「当たり前じゃん」

『嬉しい』



真剣な顔でそんなことを言われたら


照れてしまう


誤魔化すようにして笑うけど



ラウ「耳、真っ赤だよ」



なんて、意地悪そうな顔で笑ったあと



ラウ「先、降りてるね、翔太君起こすの頑張ってっ!!」



なんて言ってケラケラと笑いながら


逃げるように部屋を出ていく


もう、


昨日からからかわれてばっかりだ


だけど、やっぱり体は素直で


置いてある鏡を見れば顔は真っ赤だ



『もー、重症じゃん』



ラウールの部屋を出て


佐久間の部屋に入れば


こちらも気持ちよさそうにすやすやと寝ている



『さっくん!起きて!』



さっきと同じように肩を叩く


「んー、」と言いながら寝返りをうつさっくんを


無理やり起こすと


しばらくの間ベットの上でぼーっとする


こんなとこも変わってないのが何故か嬉しくなる



『おはよ、さっくん』

佐久間「あぁ!あなただあ!」



私の顔を見ると嬉しそうにそう言うさっくん



『今日からまたよろしくね』



そう言うえば


「こちらこそ!」なんて言って


またにこっ、と笑う



佐久間「俺ね、この時間何でかわかんないけど大好き」

『なにそれっ、意味わかんない』

佐久間「俺もわかんない!」



朝から元気だな、なんて思うほどに


ケラケラと笑うから


つられて私も笑った



『先、下行っててね』



それだけ言って部屋を出ようとすれば



佐久間「これからずっーと、俺の起こし担当よろしくね、」



なんて言ってくる



『ずーっと?』

佐久間「うん!死ぬまで!」

『いや、ながっ、』



私がそう言うと



佐久間「じゃあこれからもよろしく」



なんて言って部屋を出ていく


最初から最後まで意味がわからないが


きっとこれは彼なりの気持ちの伝え方なのだろう


ずっと一緒にいてほしい


なんて言う。


そんなところも彼らしくて少し嬉しくなる



『ありがとう』



小さくそうつぶやいておいた


絶対にもう離れない


こんな最高な仲間たちから離れるなんて


多分私が生きて行けなくなる


それだけ大切な存在なのだと


今日もまたひとつ気付かされる


そんなことを思いながらも


最後の人の部屋のドアを開けた














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