目黒side
翔太君の話になって嬉しそうにするあなたも
ラウールにいじられて顔が赤くなるあなたも
翔太君に「大好き」なんて言われて照れてるあなたも
全部全部見たくない
俺にすればいいのに
もし、俺の事を好きでいてくれたらどんなに幸せか
そんなことを思う度に
また、どんどんと好きになってしまう
叶わないってわかってるのに諦めきれない
「おやすみ」なんて言って
自分の部屋に入っていこうとするあなたの服の裾を引っ張る
夢野「蓮、?」
そう言いながら俺の顔を覗いてくる
こんな顔ですら愛おしい
気づけばあなたの手をとり
自分の部屋の中へ引っ張っていた
驚いた顔をするあなたを真正面から抱きしめる
夢野「どーした?」
ふわっと笑いながら
そう聞いてくるあなたに抱きついたまま
『好き、』
なんて言えば
夢野「ありがとう、」
そう言ってまたふわっ、と笑う
こんな所まで可愛いからずるい
翔太君のことが好きなくせに
俺が「好き」なんて言っても
「ありがとう」
なんて言って、俺が傷つかないように
「ごめん」とは言わない
『俺、やっぱりあなたが好き、大好き』
夢野「ありがとね、そんなに好いてくれて」
『翔太君のものになるまでだけでいいから、』
なんて言って大好きな匂いに顔を埋めれば
夢野「いいよ」
なんて言ってくれる
ほら、やっぱりずるい
どこまでもやさしいんだ
夢野「私も蓮のこと好きだよ?」
そんなことを言ってくれるけど
きっとこれは恋愛感情の好きではない
友達としてだ
それでもいい、それでもいいから
少しでも一緒に居たい
『寝よ』
夢野「一緒に?」
『うん。だめ?』
夢野「いいよ」
そのまま彼女を抱き寄せベットに入る
『おやすみ』
それだけ言って目を閉じた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。