第196話

After story 4
12,724
2022/03/13 13:43





久しぶりの2人だけの空間はどこか懐かしくて


どこかぎこちない


そのくせ会話がなくても安心する


あの夜と同じように暗闇には満月が浮かぶ



目黒「月、綺麗だね」



ボソッとそんなことを呟く彼


意味は聞かないでおこう



『そーだね』



優しく返せば嬉しそう笑う


その横顔はやっぱり懐かしい


家に着き玄関を開ける


さっきまでの空間とは真反対に


みんなの騒がしい声が聞こえる



『ただいまぁ』



なんて言いながらリビングのドアを開ければ


いきなり真っ暗闇に



渡辺「おかえり」

『ん、ただいま』



「僕の場所なのに」なんて言いながら口をとがらせるラウールを横目に


翔太から体を離す



渡辺「何もしてないよな?」



翔太にそう聞かれると


「してないつもりでーす」なんて少し濁した言い方をする蓮



渡辺「まじでさぁ、」

『手、繋いできた』

渡辺「は?」

阿部「うわ、自分で言うとかMだね」

深澤「知らないからね」



翔太の反応を面白がりながらも椅子に座る


「いただきまーす!」と言うと翔太も渋々席に座り箸をとる


それからまた拗ね気味の翔太


そんな翔太をたまにいじりながらも


シャワーを終わらせる


ある程度リビングでだらけたあと



『翔太、寝よっか』



と声をかける


何も言わないまま立ち上がるとそのままリビングを出ていく


私も「おやすみ」とだけ言って翔太を追いかける


部屋に入っても拗ね顔の翔太に


「まだ拗ねてんの〜?」なんて言って笑いながら顔を覗く


目が合ったかと思えば視界が反転


見えるのは白い天井と


月明かりに照らされる獲物を捕らえたかのような翔太の顔



渡辺「お前わざとやってんの?」



どんどんと早くなる鼓動とは裏腹に



『なにが?』



なんて少し微笑みながら返す



渡辺「そうゆう余裕そうなとこも、マジでむかつく」



それだけ言うと顔が近づき


気づけば重なる唇と唇


何度も何度も角度を変えて



『翔太っ、!』

渡辺「っ、、なに?」

『やさしく、してよ、』



さっきと同じ顔で私を見ると


フッと鼻で笑い



渡辺「無理に決まってんだろ」



それだけ言うとまた荒々しく唇が重なり


どんどん下へと下っていく


反抗することを諦めた体は


どんどんと翔太のペースに飲み込まれて行き甘い夜が始まる
































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