『いつまでいんの、終電無くなるよ』
田中「俺今日泊まってくぅ、」
『絶対やだ、帰って』
渡辺「え、じゃあ俺も!!」
『だから嫌だって、めんどくさい。本当に終電無くなるよ、』
ほんとに帰らないつもりだろうか、
ヘラヘラと笑う2人を見ながら
少し覚悟を決める
田中「俺1人で帰れねぇ」
渡辺「おれも」
それから、2人して俺の方を見る
顔の前で手を合わせて
声を揃えてお願いしてくるから
渋々了解してしまった
先にシャワーを浴びて
いつもだったらシャワー後はサラシを取るが
今日は2人がいるから
シャワー後もサラシを巻いて
胸を潰してから服を着てリビングへ
『ほら、お前らシャワー』
渡辺「じゃあ、俺先借りる」
『ん、』
田中「秋の家久々、」
『そーだな、てか、そんな酔っ払って明日仕事無いの?』
田中「午前から」
『は、?大丈夫なの?』
田中「俺、二日酔いしないタイプだから」
『いや、知らないけど迷惑はかけないようにね』
田中「まかせろっまかせろっ」
『説得力ねぇな』
翔太がシャワーから出てきて
次は樹がシャワーを浴びに行く
渡辺「化粧水借りていぃ?」
『うん』
相変わらずな翔太に
そう言って化粧水を渡す
渡辺「え、てか、結構いい化粧水使ってんじゃん」
『それ、前翔太がくれたやつな、』
渡辺「あー、。」
それから、また曖昧な返事をする
もう今日は早く寝た方がいい
これで深夜テンションにでも入ったら
それごと終わりだ
渡辺「お前も飲めばいいのに、」
そんなことを言っている翔太を無視して
机の片付けをしていると
樹がシャワーから出てくる
『ちょっ、馬鹿じゃねぇの、!!服着ろって』
ズボンだけを履いたまま
肩にタオルをかけて
リビングに入ってくる樹
田中「なに、そんなに慌ててんだよ」
渡辺「前俺らが着替えてるとこ見ても照れてんだよ、おかしくない?」
本当の理由が言えないのが1番辛い
ギュッと目をつぶったまま
樹をリビングから追い出した
風呂上がりの2人に挟まれながら
今日の余韻に浸かる
渡辺「で?俺らは、どこで寝ればいい?」
すっかり忘れていた
大きなため息をついてから
少し長めの瞬きをした
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。