第146話

144.
15,387
2021/12/04 06:35





そう言ったあとは


何も言わずにまたスマホをいじり出す翔太



『それは、どうゆう好き、?』



変な質問をすると私に



渡辺「異性として」



なんて、当たり前のように言うけど


少し照れてるのが丸わかりだった


そんなことを言ってくれる翔太に


正直胸が跳ね上がるぐらい嬉しかった


でも、


世間的に言えば自分の好きな人が


自分を好きになってくれているこの状態は


恋愛としては大成功のはずなのに


私の場合、胸が跳ね上がると同時に


叶えることの出来ない苦しさが胸を満たす


こんなに好きなのに


今すぐに、私もだよ、なんて言って


抱きつきたいのに


そうゆう関係になってはダメ、なんて言う


私の中にある謎のプライドが


1ミリも動こうとしない


どうするのが正解なのか分からないまま


自分の中で葛藤し続けた



渡辺「返事は、?」



いつも間にかスマホを置いて


ベットの上に座り私の方を見ている翔太


葛藤した結果



『ありがとう、嬉しい、』



なんて、曖昧な返事をした



渡辺「ちゃんと言って」



そんな私に、不満そうな顔でそういう


そんな翔太を見て


胸がキュッと苦しくなるのを押えた



『ごめん』



とだけ謝った


それ以外どう言ったらいいのか分からなかった



渡辺「うん、わかってた」



なんて言って


もう一度ベットで横になると手で顔を覆う翔太


もう一度謝ってから、ベットに背を向けて座る


鼻のすする音に何故か、私も泣きそうになった


でも、ここで私が泣いたら


無責任すぎる


唇を噛んで意地でも我慢した



渡辺「明日からも普通にしてくれるよね、?」



なんて、震えた声で聞かれる


きちんと翔太の方を向いてから



『当たり前だよ、』



と無理やり笑顔を作り笑ってみせる


ありがとう、なんて言って強く抱き締めたあと



渡辺「おやすみ、」



とだけ言って部屋から出ていく


翔太が部屋から居なくなった途端


我慢していた涙がボロボロと溢れる


そんな涙を止めようと枕に顔を埋めるが


まだ大好きな人の香りがほんのりと残っていて


もっと涙が溢れた


こんな切ない気持ちをとっぱらうように


自分の頭を叩いたあと


ベットから降りて


カーペットの上に寝転がり目を閉じた















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