第42話

40.
19,054
2022/09/23 10:25





その後も、ラウールと手を繋いだまま


シェアハウスの玄関を開ける



阿部「おかえりー、ってなんで手繋いでんの?」

ラウ「阿部君、秋君元気ない」



なんて、ラウールが急にそんなことを言い出す


驚いて隣を見れば


真剣な顔をしてた



『ラウール、?』

ラウ「僕もわかるんだよ、秋君がなんか悩んでることぐらい」



それから、俺の目をじっと見る



阿部「どーした?喧嘩でもしたの、?」

ラウ「秋君、車に引かれそうになった」

『ちょ、ラウール別に言わなくてもいいからっ、』

阿部「なにそれ、秋、大丈夫なの?」

『うんっ、全然大丈夫、!』



阿部ちゃんに対して、慌ててそういえば


嘘つき、なんて声が


隣から聞こえる



ラウ「阿部君っ、秋君僕には頼ってくれないみたいだから、お願いします、」

阿部「えっ、?」



それだけ言って


無理やり作ったような笑顔をして


階段をのぼり部屋に戻ろうとするから


腕を掴んで止めた



『何それ、俺がいつラウールのこと頼ってないなんて言った?』



そして俺も少し強い口調で言い返す


ラウールの顔をしっかりと見ながら



ラウ「だってっ、!頼ってくれてないじゃん!!」

『そんなことない』

ラウ「あるよ。さっきだって。僕コンビニ行く前から元気ないことぐらい気づいてたんだよ?」

『だからって、なんでラウールのこと頼ってないことになるんだよ、それは違うだろ』

ラウ「同じだよ。僕も着いてったら話してくれると思ったのに、話してくれなかったし秋君が引かれそうになった時だって、大丈夫って嘘ついたじゃん」

『別に嘘じゃな』

ラウ「僕そんな頼りないの、?」



否定する俺の言葉にかぶせるようにして


少し涙目になりながら


俺の顔を見てそういうラウール


それから、何も言わずに


階段をのぼって自分の部屋に行ってしまった


それから、大きなため息が出る



『俺バカだわ、高校生にあんなこと言わせて、』



独り言のようにつぶやく俺に


何故か笑う阿部ちゃん



阿部「メンバーとなんか何回でもぶつかり合えばいいよ、」

『阿部ちゃんは、俺に怒らないの?』



俺が悩んでいることぐらい


どうせ阿部ちゃんは1番初めに気づいてる



阿部「怒らないよ、昔から秋はそうゆう子だって分かってるから」

『別に頼らないんじゃなくて、自分のことだから自分で何とかしなきゃって思ってるだけだよ、』

阿部「うん、それも知ってる」

『なんでも知ってるんだね、』

阿部「当たり前」



そんな会話を廊下の真ん中でする


2人の声はやけに響いていた



阿部「でも、俺は秋がいくら俺らに頼ろうとしなくても、見捨てることは絶対しないからね」

『うん、ありがとう、』

阿部「じゃ、リビング行こっか、もう結構騒ぐ準備できてるし」

『うん』

阿部「早めにラウールと仲直りしなよ」

『うんっ、俺呼んでくる』



そレだけ言ってから


階段を駆け上がった













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