第142話

140.
15,352
2021/12/04 05:04





1人での撮影が終わり帰ろうとしたところに


スマホが鳴る画面を見れば


【午後からライブの打ち合わせ入った。】

【急でごめん、夢野以外もう全員集まってる。】


なんてマネからのメール


【全然大丈夫です。了解しました。】


とだけ返信をして、帰り道をUターン


あとから送られてきた場所へ向かう


「使用中」


と書いてある扉をノックして開ければ


メンバーとマネ、スタッフさんも


全員揃っていた



『すいませんっ、遅れました、』



それから、急いで中に入る


隣に来い、と言わんばかりに


横にずれてトントン、と横の椅子を叩く翔太


ありがと、と言って隣に座ると打ち合わせが始まる


立ち位置、歌割り、全体の動き方


全部ちゃんと聞いて頭に入れないといけないのに


昨日の夜、ダンスの練習をしていたせいか


一睡も出来てない


どんどん重たくなる瞼に


だんだんみんなの声が遠くなる


何とか、目が閉じないようにしていれば



深澤「すいません、ちょっといいですか、」



なんて言って深澤が打ち合わせを止めた



『どーした、の、?』



何事も無かったかのように顔を上げて


深澤にそう聞く俺に



深澤「お前だよっ、」



なんて言って笑いながらおでこをつつかれる



深澤「眠いんでしょ」

『え、』

深澤「いいよ、寝てて家帰ってから俺のメモ見せるから」

『いや、大丈夫、』



自分のほっぺたをパチンッと叩き


頑張れる、なんて言う俺の顔を見て



深澤「言っとくけど、寝てないことバレてるからね?」



なんて、笑いながらか言ってくが


目は笑っていない



『えっ、?』

深澤「あれだけ夜遅くまで隣でドンドン言ってたらわかるに決まってんだろ」



やっぱり、この人はなんでも知ってる


怖いぐらいに



深澤「寝とけ、」

『大丈夫だって』

深澤「だめ、寝て」

『寝ない、聞く』

深澤「聞けてないだろっ、寝ろって言ったら寝ろ」



そんな会話をする横で



「今日は流れをある程度決めるだけなんで休んでもらってても大丈夫ですよ。」



なんてスタッフさん達が


笑いながらそう言ってくれる


そんな優しさに、諦めて甘えることにした



『すいませんっ、』



とだけ言って机に顔を伏せた












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