第75話

73.
16,688
2021/11/12 13:07





電車に乗って7駅揺られたあと


新幹線に乗り換えて目的地まで向かう


まずは電車に乗る。


人の数は別に多くはなく


イスはギリギリ空いてないぐらいの


混み具合だった


3人で吊革を持ちながら揺られ


2駅過ぎた後1人が降りて席が空く


その席に誰が座るのだろうと見ていると



深澤「秋、座ったら?」



なんて、隣から小声で言ってくる深澤



『いや、いいよ、2人立ってるのに』

深澤「でも、まだあと5駅もあるよ?」

『あと5駅だけでしょ?』

深澤「ほんとにいいの?」

『うん、いいって言ったらいいの』



それから、また3人で吊革を持ちながら


電車に揺られる


やっと乗り換えの駅に着いて


次は新幹線



阿部「え、新幹線代は、?」



席に座ったあとそう言いながら


俺の顔を見る阿部ちゃん



『昨日のお礼で来てるんだから、もう払ったよ』



なんて、そうとだけ返す



深澤「まじ、?ありがとう、」

阿部「なんか、秋かっこいいよ」



なんて、笑いながら言ってくるから


俺も笑い返しておいた


四人席を向かい合わせ


俺の隣に深澤、向かい側に阿部ちゃん


新幹線が出発してからは


窓から見える景色をただただ眺める


いつバレるのだろうか、


もしかしたらもう誰かには気づかれてるんじゃないだろうか、


ずっとここにいたい。


バレてここじゃないとこに行くことを考えるだけで


それだけで、たまらなく嫌だった


今から楽しい旅行だって言うのに


ネガティブな事ばかりが頭をよぎっていく



阿部「秋、やめてその顔、」



そんな中、急に阿部ちゃんの声が聞こえる



『え、?』

阿部「嫌いって言ってるじゃん」

『ごめん、してた?』

阿部「うん、してた」

深澤「俺も好きじゃない」

『そっか、ならごめん、』



未だにどんな顔をしているかは


自分では分からないが


ここにずっと居たい、とか


みんなと離れたくない、なんて思ってる時に


無意識のうちに


そんな顔、になってるんだろう


そんなことを言い出す2人に


笑顔をつけながらごめん、とだけ返す



深澤「秋はやっぱり笑顔と寝顔が1番いいよ」



寝顔はいらないでしょ、


なんて言いそうになるのを


素直にありがとう、とだけ返し


また景色を眺めた





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