第123話

121.
16,211
2021/11/30 11:38





荷物を片付けをしていれば


ドアを叩かれる


「はーい」と言うと入ってきたのは翔太だった



『あ、翔太、どーした?』



俺がそう聞くと何も言わずにベットに腰を下ろす



『なに』



もう一度翔太に向かってそう聞く



渡辺「ラウールが抱きついても何も言わないのに、俺は手繋ぐこともダメなの?」



真剣な顔で聞いてくる翔太に


荷物を片付けながら返す



『それとこれとは違うじゃん』

渡辺「なにが」

『だから、翔太には俺が女ってバレちゃってるじゃん』



空になったリュックを、


クローゼットの中にしまう



渡辺「あなた」



そんな俺の後ろから


急に名前を呼んでくる



『翔太、だめだって、シェアハウスの中では秋って呼んで』



俺がそう言うと


また不貞腐れたような顔をして


ベットの上に寝転がる



渡辺「なんか、距離近くなったようで遠くなったな」



なんて、よく分からないことを言い出す



『意味わかんねぇよ』



笑いながら返す俺に



渡辺「まあいいや」



なんて言ってベットから起き上がり


俺の顔をじっと見る


何も言わないまま黙る俺の頭に


そっと手を載せようとするから



『翔太、』



そう言って止めた



渡辺「なに、頭撫でることもダメなの」



なんて、言って俺の目を見る



『今までは男と男だったけど、今は違うでしょ』



本当のことだ。


今までとは、同じなようで


全く違う。



渡辺「じゃあ知らない方が良かった」



それだけ言って俺の部屋を出ていく翔太


閉まったドアの音はやけにうるさかった


翔太が出ていったあとのドアを


ぼーっと見つめる


これで合ってるはずなのに


どこかモヤモヤして仕方がない


そんな気持ちを頭をブンブンと振って飛ばし


まだ、完全に片付いていない


散らかった床の上で横になる


どうするのが正解なのか


考えれば考えるほど分からなくなってきて


気づいた時には夢の中だった










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