第218話

after story 11
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2022/11/17 12:52





阿部「動画、消してくれる?」



丁寧にそういう阿部ちゃんに


聞こえてないかのように


え、やば!!、なんて騒ぎ始める



_「え、ジャニーズやめても仲良いの?」

_「大人の事情ってどうせ汚いやつでしょ?」

_「お金でもみ消したとか?」

_「それだったらつるんでないっしょ、」



阿部ちゃんが来たことで


もっと面白くなったと思っているのか


そんなことを言い合う


ちら、と阿部ちゃんの方を見れば


珍しく機嫌の悪そうな顔をする



阿部「秋、」



久しぶりに呼ばれたその名前に


ワンテンポ遅れながらも



「あ、なにっ、?」



と返す



阿部「いこ」



それだけ言ったかと思えば


私の腕を掴み


そのまま集団を離れてく


それでもしつこいのが彼らだ


かっこ悪いままじゃ嫌なんだろう



_「おい、まてよ」



そう言って


ガラの悪い男の人が私を掴む前に、


ぐい、と抱き寄せられる


何よりも安心する匂いが


一瞬で私を包んだ



阿部「迷惑ってわかんないかな?」

_「は、?」

阿部「もういい大人でしょ?少しは考えたら?」



丁寧で、紳士に、


大人らしい言葉を言う阿部ちゃん


でも、見ればわかる


どれだけ機嫌が悪いかぐらい


阿部ちゃんは怒らせない方がいい、


何度かの喧嘩でそんなことは学んでいた


丁寧な言葉を吐き捨てるようにして


私の腕を掴んだままどんどん歩いていく



「ちょっ、阿部ちゃんっ?」



くるっ、と角を曲がったかと思えば


ピタッ、と止まってから


私と視線を合わせるようにする



「なんか、ありがとね、尊敬しちゃった」



私が怒らせた訳でもないのに


何故か気に触らないようにそんな言い方をすれば


大きなため息の後に


びっくりするぐらい強く抱きしめられる



「ちょ、っ、苦しいって、!!」



そんな私の言葉を無視して


ぐしゃぐしゃと私の頭を掻き回す


戸惑いながらも、やっぱりどこか安心した


親からの温もりも、愛情も知らないけど


何故か少し似ている気がしたのかもしれない














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