第121話

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2021/11/30 11:20





電気を消したあと


天井なんて、暗くて見えないけど


それでも、ぼーっと天井を見上げた



渡辺「あ、てか、本名も、秋?」

『うん、違うよ、秋はジャニーさんが付けてくれた名前』

渡辺「ほんとは、?」

『あなた』

渡辺「なんか、すっげぇ新鮮」

『俺も』



顔が見えなくても翔太が笑ってることがわかった


そんな翔太につられて俺も笑う



渡辺「じゃあ、2人でいる時はあなたって呼ぶ」

『いや、いいよ秋で』

渡辺「やだ、俺がそう呼びたい」

『わかった』

渡辺「あとさ」

『うん』

渡辺「2人の時は私でいてよ」



バレてから、どんな関係でいるのが正しいのか


その答えが、直ぐに出ないまま


どんどんと話が進む


おねがいっ、なんて声が聞こえ


気づけば、わかった。なんて返している自分がいた


多分、これは間違ってる


そんな自覚はあった


それでも、わかった。と答えたのだ



渡辺「おやすみ、あなた」



そう言ってくる翔太に



『おやすみ、翔太』



なんて返して目を閉じた


きっと、これは、


間違いだ。


次の日の朝


目を開ければ、目の前に翔太の寝顔があった


面白くなっておでこをつつく


うっすらと目を開けて目が合ったあと


笑いながら



渡辺「おはよ、あなた」



なんて、少し嬉しそうに言う翔太


私も同じように返したあと


布団をたたみ旅館を出る準備をする


荷物を片付け朝ごはんを頂いたあと


2人で旅館を出る



『で、結局今日の行先はどこなの』



そう、私が聞くと笑いながら



渡辺「まだ内緒」



なんて言って歩いていく翔太


私もその後ろを付いていく


着いたのは大きな神社だった



『わぁ、いいね、私好きだよ』



そう言いながら翔太の方を見ると



渡辺「よかった」



とだけ言って神社の中へ入っていく


2人でひとつの絵馬を買いお互いの名前を書く



『秋?あなた?』

渡辺「あなた」

『分かった』



絵馬の真ん中に2人の名前を書き


いちばん高いところにかける



渡辺「一生消えない思い出になった?」



なんて私の顔を覗き聞いてくる



『うん!』



なったよ。ちゃんと。


そう返す私に何故か少し照れたように笑う翔太


それからお昼ご飯を食べたあと


新幹線に乗りシェアハウスへ


夕方までには着くかなと思いながら


新幹線に揺られた










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