第215話

After story 10
8,827
2022/03/13 13:45





うっすらと目を開ければ


こっちを向く翔太と目が合う



渡辺「おはよ、」

『あ、おはよ』



まだ頭が回っていない私に


前髪を上げておでこに手を当てる



渡辺「まだあるな、」



それだけ言ってまたベットに腰かける


ふと、時計が目に入る



『あ、!!めめ、!』



すっかり忘れていた、


時間はとっくにすぎてるし、


治まったかどうかも分からない、


薬も渡しておいた方がいいし、


そう言って飛び起きた体は


驚くほど重く、頭にはガンガンと血液の流れが響く



翔太「ほら、大人しくしてねぇと治んないよ?」

『めめは、?!』

翔太「もうでてったよ、少しは良くなったけどって、」




そう言う翔太に


ほっと、息を吐く


よかった。


帰ってきたら一応薬を飲むように言わないと


そんなことを考えていれば


ぐっと、翔太の顔が近づく



渡辺「お前さ、もしかして目黒のこと気にしてんの?」

『いや、気にしてるって言うか、体調悪いなら看病するのも私の仕事かな、って、』



そんなことを言えば、


ふっ、と吹き出して笑われる



渡辺「この体で?」



それから、こつん、とおでこがくっつき


ふにゃっ、と笑う


無理だ。



渡辺「目黒には康二がついて行ってるから、まずは自分を治せ」




わかった、?なんて聞かれ


小さく首を縦に動かせば


くしゃくしゃと頭を撫でられる


いつもの翔太じゃないみたいだ。


こうゆう時だけしっかりしちゃってさ、



渡辺「午後からは仕事だけど、阿部ちゃんに見てもらって」

『え、。』



きっとあの人にはバレてる


隠すなんて無理だから。


やっぱり怖い


また怒られるんだろう



渡辺「熱下がるまで寝とけ、ここにいるから。」



そんな言葉に安心して


目を閉じた。


手を握られたまま眠りにつき、


次起きた時には翔太はいなかったけど


体は驚くほど軽かった


それから部屋に入ってきた阿部ちゃんに


こっぴどく叱られたのは言うまでもない














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