第107話

105.
16,009
2021/11/28 10:03





深澤が取ってきてくれた保冷剤を目にあてる



向井「明日、YouTube撮影やろ?」

『あー、そーだね』

向井「その時までには治まってるとええな、」



隣に座りながらそう言う康二



『まだ赤い、?』

向井「真っ赤っかやでっ、」

『マジか、治まらなかったらメイクで隠せるかな』

向井「俺がやってあげるで!」

『いやっ、遠慮しとく』

向井「なんでなん!?」

『当たり前だろ!!』



なんて会話をしながら


ソファーの上で笑い合っていれば


お風呂から上がった阿部ちゃんが隣に座る


なんとなくまだ気まずくて、


どうすればいいか分からずにいると



向井「俺、もう寝るわ!おやすみ!」



なんて言って、


気を利かせてリビングを出ていく康二


リビングに残ったのは


もう、阿部ちゃんと俺だけだった


とりあえずこの沈黙をどうにかしたくて


あのさ、なんて言えば


見事に被ってしまった


先いいよ、なんて言葉に甘えて


お互い前を向いたまま


顔を合わせずに口を開いた



『まず、ごめん』

阿部「何に対して?」

『阿部ちゃんの言うこと聞いてればこんなことにならなかったし、みんなに心配かけることもなかったじゃん』

阿部「そうだね、」

『え、?』

阿部「秋がお母さんに会いに行かなければ、こんなに泣かなくて済んだのに」

『そーだよな、ごめん、自分勝手で』

阿部「でも、これで良かったとも思ってる」

『なんで、?』

阿部「だって、これで結局秋が俺の言うこと聞いてお母さんに会いに行ってなかったら、まだ喧嘩してたかもしれないじゃん」



なんて、予想外のことを言い出す阿部ちゃん


そんな阿部ちゃんに思わず笑ってしまった



『なんか新鮮だったよね』

阿部「俺はめっちゃ嫌だったけどね」

『そーなの?』

阿部「当たり前じゃんっ、秋が佐久間と交代してって言った時めっちゃ傷ついたんだよ」

『ごめんって、!』

阿部「ほんとに、笑い事じゃないからね」

『いやっ、だってそんなふうに思ってとか、なんかすごい意外だったから』

阿部「今後絶対喧嘩はやめようね」

『わかった』



なんて、笑いながらそんな約束を交わした


そのあとは、いつもみたいに喋って、笑って


やっぱり、阿部ちゃんと喧嘩なんて


もう一生ごめんだと思った















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