第178話

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16,703
2021/12/18 11:48





ゆっくりと目を開ければ


きちんと蓮に抱きしめられている



『蓮、起きて』

目黒「ん、」

『じゃあ、腕だけでも離して』



このままじゃ起き上がることも出来ない


「ねぇー」なんて言いながら


体を叩くけど全然離してくれない



目黒「あとちょっと」

『だめ、もう時間だから』



もうそろそろ起きないといけない時間になってきて


まだ眠たそうにする蓮の体をグイグイと押す


やっと目を開けたかと思えば



目黒「おはよ」



と、言いながらもっと強く抱きしめてくる



『ねぇ、離してって』

目黒「やだ」

『起きれないじゃん』

目黒「じゃあ、おはようのチューは、?」

『するわけないでしょ』



ふざけてそういうから


そう言い返せば、分かりやすく拗ねた顔をする


そんな蓮を見て笑いながらも


無理やり蓮の腕から抜け出し


ベットから起き上がるけど



目黒「だから、嫌だって」



そう言ってぐい、と腕を引っ張られ


また後ろから抱きしめられる



『ちょっと、ほんとにっ、』



「ほんとに離して」


なんて言おうと後ろを向いた瞬間


そっと唇が重なる



目黒「言ったじゃん、翔太君のものになるまでだけでいいからって」



そんなことを言ってまた唇が重ねられる


顔が離れたかと思えば



目黒「やっぱ、翔太君に取られたくないわっ、」



それだけ言って部屋を出ていく蓮


余裕そうな顔をしているだけで


恋愛経験がゼロの私は


やっぱりこんなことには弱い


バクバクとなる心臓を落ち着かせ


リビングへ向かった



『おはよう』

阿部「あ、おはようあなた」

『おはよう、阿部ちゃん』



私がそう返せば


嬉しそうな顔をする阿部ちゃん


よく分からず一応もう一度笑い返しておけば



阿部「もう、どっかいっちゃダメだからね」



なんて言ってリビングの椅子に座る


机を挟んで向かい側に座り



『どこにも行かないよ』



なんて、言えばまた嬉しそうに笑う阿部ちゃん


なんだかおかしくなってきて


2人でケラケラと笑い合っていると



宮舘「楽しそうなところ申し訳ないんだけどさ」



と、急に舘さんが喋りかけてくる



『あ、なに?』

宮舘「起こしに行ってくれる?」

『あ、』

阿部「あなたが行く?」

『えっ、?』



3人を起こしに行く事も


もうないと思っていたのに


びっくりして2人の顔を見れば



宮舘「お願いしていい?」

阿部「喜ぶよ」



なんて言ってくれる



『うん、!』



それから、リビングを飛び出して


階段を駆け上がる


当たり前じゃなくなったことが当たり前に戻った、


嬉しくて嬉しくて思わず頬が緩む


あの時と同じように扉をノックして


ゆっくりと部屋の中へ入った









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