第42話

三十八話
889
2020/07/18 02:39
こんなやりとりを見ていると、今更ながらに少しずつ不安になっていく雪村だった。
こうして、雪村千鶴は新選組におかれることになった
文久四年一月中旬ーー
雪村が新選組の屯所で暮らし始めてから一週間が過ぎようとしていた。


輪廻が部屋の襖を開けると清々しい朝の空気が流れ込んで来た。
空は厚い雲に覆われ、吹く風もいつもより強かった。
輪廻
輪廻
...少し肌寒いが、悪くない。
そう言い、今日は輪廻が見張り役だったので雪村のところに向かった。
雪村の部屋の近くまで来ると、襖が開いていることに気が付いた。
そして、雪村の声が聞こえた。
雪村 千鶴
雪村 千鶴
....ずっと男装したままだと言うのは、やっぱり不便かも...
そして、雪村は小さくため息を吐いた
それから雪村は目をつむり考えているようだった。
雪村は自分の処遇が決まった日を思い出していた。
土方 歳三
土方 歳三
おまえの身柄は、新選組預かりとする。
が、女として屯所に置くわけにゃいかねえ
土方 歳三
土方 歳三
新選組にかくまわれている女が居るーー
土方 歳三
土方 歳三
そんな話が万一にも広がれば、よくねえ勘繰りをする奴も出てくる
土方 歳三
土方 歳三
それに、噂を聞いて綱道さんを狙っている奴らが、おまえまで狙いだすかもしれねえ
土方 歳三
土方 歳三
...もちろん、綱道さんが狙われていると確定したわけじゃねえがな
土方 歳三
土方 歳三
こういう不確定要素が多い現状で、うかつな行動はとれねえってことだ
土方 歳三
土方 歳三
だから、おまえには男装を続けてもらう。
...面倒だろうが、それでいいな
雪村 千鶴
雪村 千鶴
...はい
土方の言葉は理にかなって納得できるものたった。
それに、新選組のことを優先しつつ、雪村と雪村の父、綱道の安全を考えている。
それを考えると、雪村は、従わない理由はなかった。

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