第22話

伸ばしたかったんだ...
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2021/02/06 09:38
おかしい
りょう「ねぇ、これで空いたよね?」
おかしい
りょう「案外簡単に赤外線掻い潜れるんだな」
おかしい
りょう「これ?目当てのネックレス?」
おかし過ぎる
りょう「警察来ちゃった、どうする?」
なんでだよっ!!!!
てつやとりょうが警察に囲まれ、目当てのネックレスを片手に持つりょうはてつやの前に一歩出て、てつやはその後ろでりょうを見ながら頭を抱えた
潜入スキル、回避スキル全てが自分よりは劣るが、教えた覚えは一ミリもない
あくまで普通の人よりちょっと出来るくらいの範囲しか教えてない
施錠された鍵の開け方、赤外線の避け方進み方、セキュリティ解除の仕方...
てつやはほんとうに教えたつもりはなかった
てつや『なんでお前、そんなことできん。だよ』
イラつきながら、りょうを押し退け床に小さな玉を叩きつけて煙幕を出す
煙幕が出て警察を巻いてる間に、りょうの腕を強引に掴み逃げ出した
ある程度離れて、人気のないところでやっとりょうの腕を離した
りょう「やっと離したなお前、痛かったんだぞ意外に」
てつや「っ、」
怒りに任せ、てつやはりょうの胸ぐらを掴んで、壁に追い詰めた
りょう「ぐっ、おいてつやっ」
てつや「俺は教えたつもりはない!!!俺が教えたのは運動神経と頭をほんの少し良くしただけだ!!!なのになんでお前は出来るんだ!?鍵の明け方!!赤外線の避け方!!!セキュリティの解除の仕方!!!確かに今回の宝は簡単に盗める!!!だがな、お前みたいなやつが簡単に盗めるやつでもねぇ!!!あぁそうだ、俺はそんな方法を教えてねぇからな!!!なのにお前はっ!!!!」
見事、りょうは初めての仕事だというのに目当ての宝を盗み出した
俺だって失敗の連続でてんでダメだったのに
俺がフォローしていたとはいえ、こんなにミスもなく盗めるはずがない
りょう「...お前が俺のことを遠ざけようとして、挫折させようとしてここに盗みに入ったのは知ってた...」
てつや「っ、じゃあ」
りょう「確かに、前より運動神経や頭が良くなったけど、俺の力じゃまだてつやの足手まとい、今日の盗みだって失敗してたね...」
てつや「......あぁ」
りょう「てつやは俺に何も教えてくれないだろうから、別の人に教えてもらった」
てつや「...はぁ、しゃちょーか」
りょうはしゃちょーが怪盗だということを知っている
俺に教えてもらえないなら、しゃちょーってとこか
どーりで手つきがしゃちょーに似てたんだ
てつやはりょうの胸ぐらを離し、舌打ちをしながらその場に座り込んだ
てつや「ったく、んでそんなことしてんだよ」
りょう「お前をほんとうに助けたいから...」
てつや「知ったような口聞くな、俺は元々りょうをこっちの世界に連れていこうとしたつもりはない、勝手にやらせて挫折してくれれば良いと思った...」
りょう「だろうね、結局大事なことは教えてくれないし、はぐらかされるし」
てつや「俺はっ、今まで一人で怪盗をやって来た!!!!これからもずっとそのつもりだった!!なのにっ、お前のせいだ!!」
りょうの方を睨み付け、乱暴に帽子を脱ぎりょうに叩きつける
黙ってりょうは話しを聞く
てつや「お前がっ、俺に関わってくるから!!!俺のことに関わってくるから!!!俺は全部を話した!!そんなつもりはなかった!!!弱った俺の心はお前の優しさにすがった!!そんなことことあっちゃならないのにっ、巻き込んじゃいけねぇのに...お前と俺は、お前たちと俺は、ほんとは一緒に、いちゃいけないんだよっ......」
しばゆーたちのことも含めて、てつやは言った
いつの間にか、怪盗業をして疲れたてつやの心の支えはメンバーだった
じいちゃんを殺したやつを探すため、始めたYoutuber
東海オンエアとして、利用してたのに
それが、唯一の心の支えだった
しゃちょーと盗みに入って、撃たれて、ヤバイなって思った時に、そんな時にりょうに助けられ、支えられ、つい真実を喋った
りょうが手を伸ばしたから、俺も手を伸ばそうとしてしまったんだ
そんなこと、合ってはならないのに
てつや「俺はお前を利用してた、お前に助けられ、俺は手を伸ばしそうになった...いつしか、心の支えはメンバーよりも、お前だった...」
りょう「てつや...」
てつや「なぁ、ほんとに良いのかよ...知らねぇぞ?前にも言った、頼りまくるって」
りょう「もちろん」
りょうも座って、てつやを抱きしめる
りょう「むしろ頼れ、東海オンエアのてつやの時も、怪盗Tのてつやの時も」
てつや「うっ、あ...」
皺になってしまうが、てつやはりょうの背中に腕を回して、スーツを握りしめた
涙を流す
辛かった、りょうが助けてくれると言った時、嬉しかった...
てつや「くぅっ、あぁ」
りょう「泣くなって...」
困った顔をしたりょうが、てつやの顔を上げて、目を細める
涙でぐちゃぐちゃだった
てつや「ひっく、りょう...?」
りょう「っ、...」
てつやの頬に手を添え、りょうは顔を近づけた
何をするのか分からなかったてつやは、ただ呆然と待っている
りょうの顔とてつやの顔が徐々に縮まるその瞬間
??「ねぇ、お前ら何やってんの?」
りょうてつ「「!!??」」
あまりにも突然の来訪者だった








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