第10話

ハニートラップと印
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2020/12/20 04:11
てつや「ハニートラップぅ?」
はじめしゃちょー「そう!ハニートラップ仕掛けてけばわりかし上手くいくと思うんだよねぇ」
はじめしゃちょーと明日に控えた盗みの作戦を立てていたてつやは、ハニートラップの言葉に顔をしかめる
はじめしゃちょー「ほら、警備員とかワンチャンそこの社長的なやつ丸め込めそうじゃん!」
てつや「う、うーん...まぁそうですけど」
はじめしゃちょー「もしかして乗り気じゃない?てつや好きそうじゃんハニトラ」
てつや「俺をどーいう目で見てんすか?」
はじめしゃちょー「得意そう...あっ、やふへゐくんたち呼んでるからちょっと行ってくる!また後で!!」
慌ただしく電話を切られ、てつやはしばらく考えた
別にハニートラップは苦手ではない、がどうにも気分は乗らない
昔、調子に乗って丸め込もうとしたら押し倒されてギリギリの所で逃げてきたから良い思い出がない
しかも男、最悪だった
てつや『試しに練習してみるか?』
丁度良くメンバーがリビングでゲームしてる
てつやは音を立てないように浴室に行き、シャワーを浴びる
風呂上がりに色気的なやつ
軽ーくドライヤーをやったあと、しばゆーの脱ぎ捨てられているドルガバのシャツを羽織、前を少しだけあげる
仕上げにてつやが履くとだぼっとなってしまうりょうのスエットを履いた
パンツは履いた、りょうに怒られそうだから
ゲームをしているメンバーの所に行く
ドアを開けると、ゲームが白熱しているのかこちらには気づかない
そっとてつやは、観戦中のしばゆーの横にそっと座った
てつや「何中?」
眠そうな甘ったるい声を出す
もちろん演技
しばゆーは突然てつやが話しかけたのに驚いた
しばゆー「びっ、くりした...止めろよおま...なんで俺のシャツ」
着てんの、という言葉が言われる前にてつやはしばゆーの口に指を置いて、ふふっと笑みを溢した
てつや「ごめんね、しばゆーのシャツがそばにあったからつい」
そう言えばしばゆーの顔は赤くなっていく
てつや『ちょろ、てかコイツ俺なんかのハニトラに引っかかんのかよ、俺自分でやってて悲しくなるよ...』
どうせなら女の子にハニトラを仕掛けられたいてつやは、何が悲しくて親友の男にハニトラを練習しているのか分からなくなる
虫眼鏡「あー何いちゃついてんのそこ!僕も混ぜろや」
としみつ「てつや、なんでしばゆーのシャツ着てんだよ」
ゆめまる「お風呂上がり?」
他のメンバーが俺に気づき始めた
てつやは最低限に目をトロン、とさせてニッコリ微笑む
てつや「そんなの別にいいじゃん、たまたましばゆーのシャツがあったの、でもしばゆーだけじゃなくお前らのシャツあっても着てたよ」
げろ甘い台詞にくらくらしそうになる
自分でやってるけどね?
徐々に顔を赤くしていくメンバーを見て、あっコイツらもちょろっ、と感じたてつやは、酔っ払っているような足取りで部屋を出る
この調子ならハニトラを上手くいきそう
やりたくはないけど、最終手段にはうってつけである
てつやが一瞬で素に戻って、いつも通りの足取りで歩くと
りょう「へぇ、とししばより演技上手じゃん」
と、部屋の廊下に突っ立っていたりょうがてつやに言った
りょうの気配に気づけなかったてつやは反省する
演技とかに集中しすぎた
てつや「だろ?たまにはなんかやり返したくて」
取り敢えず息を吐くように嘘をつく
りょうは鋭い
この間の一件があって以来、俺を不審に思っている
りょう「動画回せばいいのに」
てつや「プライベートが良かったの!」
りょうの前を通り過ぎようとしたら、手を掴まれ、壁に押さえ込まれる
反応が遅れた、避けきれなかった
てつや「りょう、なんだよ...」
りょう「理由はないけど、あんまそんなことすんなよ、痛い目見るからな」
ハニトラについて怒っているのだろう
なんでりょうが怒っているのかは分からない
もしかしたらこーいうのやってほしくないんだろうな
てつや「ごめんごめん、もうしない!」
りょう「どうだか」
中々手を離してくれない
するとりょうは俺の首元に顔を埋める
なんだろうと、待ち構えていると
てつや「いっつぅ、あ、」
首筋がチクッとして、くすぐったかった
てつや「何、したんだよ...」
りょうを睨み付けるてつや
睨み付けられているにも関わらず、りょうはいつもより目を細めて笑っている
りょう「さぁなんでしょうね、それより明日はU-Fesのリハだから準備ちゃんとしなよ」
それだけ言うとりょうはてつやを離して、リビングに行った
てつやは呆然とする
てつや『何したかったんだよ、おかしなりょう...』
きっと俺をからかいたかったに違いないという、てつやは結論に至り、はじめしゃちょーからの電話に出た
そう、明日が決行日なのだから、念入りに計画を練る
リハも忘れず頑張ろう...



リビングに入り、赤い顔をしながら誤魔化すようにゲームをするメンバーを見てから、てつやの背中を見る
りょう『印はつけた...あとは...』
真剣な面持ちで、携帯のアラーム機能を起動させ、ある一定の区間で目覚ましの設定をして、りょうは携帯をポケットにしまった










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