第3話

危ない危ない
505
2020/12/13 03:28
軽い身のこなしで、家の屋根を飛び越えてつたって行く
相棒の猫も失速することなく、てつやについてきている
てつや『あぁ、気持ちいい』
風が程よくてつやの頬を撫でる
てつや『この調子なら少しゆっくりでもいいか、あんまり屋根つたって行くのも見られたときやべぇし、』
ちょうど次の屋根がなくなった所で、誰もいないことを確認して、てつやは意図も簡単に屋根から数メートル離れた地上に飛び降りた
てつや「誰も、いないな...よし」
スーツに手をかけ、バサッと一瞬で服をチェンジさせる
普段なら絶対履かないジーンズ、上も半袖Tシャツではなく、Yシャツの上からカーディガンを着た
丸メガネをかけて、少しだけ長い髪をハーフアップにする
髪の色だけは簡単に黒に染めた
てつや「髪を染めるのだけは面倒くさい...オレンジの髪もいいけどさ」
変装も完了し、あくびをして自分の変装を待っていた猫を肩に乗せ、人通りが多い道を歩く
てつや『だーれも俺のこと東海オンエアのてつやって気づいてないな、結構完璧だな俺の変装!』
予告の時間までまだあるし、暇だから並んでいる店を眺めていた
てつや『岡崎はいいな、東京はいけ好かない、うーん何がダメなんだろう』
改めて、岡崎の良さを感じながら道を歩くと、すれ違い様に誰かの肩にぶつかった
てつや「おっと、ごめんなさい、ね...」
ぶつかった相手を見る
なんでここにお前が
りょう「いや、こちらこそすみません」
りょうだ、なんでりょうが隣の市に?
確かに岡崎からはそんなに離れてないが、こんなところに来るなんて珍しい
りょう「あの、俺の顔に何か?」
てつや「えっ?あ、いや...」
どうやらりょうは俺に気づいてない
変装をしているお陰だ
てつや「......」
りょう「......」
沈黙が続く
目線をお互いに合わしているから、バレるんじゃないかとヒヤヒヤする
りょう「あの、俺と、どこかで会ったことあります?」
てつや「!?いや、ないと、思います...」
りょう「そう、ですよね...知り合いに似ていたので、やっぱそら似でしたね」
てつや「そ、うですか...」
てつやはりょうから目を反らし、時計で時間を確認して、まだ時間はあるけど、この場を離れようとする
てつや「じ、じゃあ俺急いでるんで!!!」
軽く会釈をしながらてつやはりょうから離れた
てつや「あっぶねぇ、りょうのやつ鋭いからな...にしてもアイツ、あんなとこで何してたんだ?」
後ろを振り返って、もう見えないが、りょうのいたところを見つめた
てつや「まぁとにかく、今はいいや、早くお宝盗み行こーと!」
てつやは歩くのを止め、陸上でも手に入れた持久力を活かし、全速力で走っていった




りょう『...まさか、ね』
りょうはさっきぶつかった同い年くらいの男が去っていくのを見つめていた
なんとなく、その男がてつやに似ていたが、勘違いだろう
りょう『でも、似ていたなぁ...』
いつまでもその場に立っているの意味がないんで、りょうもその場を去った







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