第16話

筋は良い
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2021/01/01 02:29
てつや「大丈夫?」
倒れ込んで息が上がっているりょうに声をかけたてつや
りょう「まぁ、大丈夫ではない...」
それもその筈、りょうはさっきからずっとてつやと同じペースで走っていて、今丁度止めた所だ
りょう「お前いつもこんな走ってたの?なのに全然息切れてないし...」
てつや「うーん...慣れだよ、楽しいし」
りょう「なんだ、俺はまだダメダメじゃん」
起き上がっててつやを見る
てつや「ねぇ、無理しなくて良いよりょう...別に表舞台に出ようとしなくて、俺一人でやれるし、お前は裏方で」
りょう「嫌だよ、お前一人にさせるとまた傷だらけで帰ってくるだろ?」
一緒に怪盗をやる、そう言ってくれたのは嬉しかった
けどまさか表舞台に出たい、と言うとは思わなかった
りょうには裏方でサポートしてもらおうと思ったのに
別に否定をしているわけではない
ただ、やっぱりりょうにそういうのをしてもらうのにまだ躊躇いがあったから
東海オンエアの六人の内二人が怪盗なんて
純粋に心配してくれるのは嬉しいけど
りょう「どうしたてつや?」
立ち上がっていたりょうが何も喋らないてつやを不思議に思ったのか話しかけた
てつや「ううん、別に...でもそろそろ行こう、集合時間間に合わなくなるよ」
りょう「てつやに指摘されるとは...」
てつや「失礼だな、これが普通の俺だっ」
りょうの顔をタオルで拭いてやり、手を引っ張って行くてつや
りょう「なぁ」
てつや「ん?」
りょう「俺、どうだった?」
てつや「何が?」
りょう「怪盗に、なれるかっていう話し」
てつや「......ほんとうになりたいの?」
りょうの方を向いたてつや
りょう「お前の隣に立てるだろ?」
笑顔で言われたから気が抜けそうになった
もう何を言ってもこの男には無駄だ
てつや「筋は良いよ、すごく」
りょう「そっか」
まだなれるかは分からないから曖昧な答えになってしまう
りょう「これからも基礎を教えてよ、知識もさ」
てつや「うん」
あぁ、こんなことならアイツらにも全部言った方が良かったのかな?、なんててつやが言ったらりょうは嫌そうな顔をして、止めとけって言われた
なんでそう言ったのか、その真意が分からなくててつやは不思議がった





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