第22話

🌠episode.22
1,710
2018/10/28 08:23
退学届をだして、

楽しかったあの頃を

笑顔だったあの頃を

思い出しながら学校を去った。






その夜。

マホトが家に来た。

いつも2人が後ろにいるのに

今日はいなかった。


不思議に思いつつ、

家に上げた。






○○
どうかした、?
マホト
いや。。その。さ。。
○○
なに?はっきり話して
マホト
俺見たんだ。
○○
なにを?
マホト
白い机と写真立て
○○
。。。

急な事に

頭が真っ白になった、

きっと見られてる。あれも。
○○
ぁ、あの部屋ね。。
マホト
写真立てを落とした時、通帳が出てきて
マホト
見ちゃいけないって知ってたけどなんでそこにあるのか不思議で
マホト
俺中開いたんだ。
○○
ぇ。。
マホト
まぁあなたはこんなデカい家にも住んでるし
マホト
金持っててもなんとも思わねぇけど
マホト
さすがに。。なぁ。
○○
。。。
マホト
なにがあったか。話して。
○○
関係ないでしょ、、
マホト
関係あるから、聞いてんの
○○
嘘ついた。みんなに。
マホト
○○
親、長期海外出張って。
マホト
ほんとはどこに、?
○○
いない。
マホト
え?
○○
5年前に亡くなってる。
マホト
○○
それは両親の保険金。
マホト
そんな前からどうやって。
○○
それからはおばあちゃんと2年暮らしてた。
○○
でもおばあちゃんも亡くなって
○○
今。




5年前。。




両親の乗っていた車が

交通事故にあったと連絡が来た。


病院に着くと、

祖母が先に"霊安室"に入っていった。


当時のあたしは霊安室なんて言葉を知らなくて

両親は怪我の手当をしてるとでも

思っていた。



あたしは部屋に入りたくて、

ドアに手をかけた。

その時、看護師さんが

「中は開けちゃダメよ。」

そう言った。



今考えると、

幼いあたしには見せられない

両親の姿だったからだろう。




最後に言葉もかけられず、

最後に顔も見られず、



あたしの大切な人は

この世を去っていった。






祖母を待っている間、

窓越しに病院の庭が見えた。



庭の片隅には"勿忘草"。


まるであたしの心を

映し出しているかのように。



わたしを忘れないで。

わたしを置いていかないで。



そう、訴えるように。















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