夕食が終わって
彼らの帰り際。
あたしの左手首には
いつも包帯がしてあった。
火傷なんて
嘘に決まってるじゃない。
学校であんな扱いを受けて
平然に生きていけるとでも思ってるの。
自傷行為、
リストカット、
きっとこんなことしてるって話したら
彼らは止めると思う。
でも、
どうにかしないと
抑えられなくて。
ジンの視線が気になった
ずっとあたしの左手を見つめていて。
なにかを見透かしているようだった。
2人が背を向けた時、
そういって彼は
帰っていった。
そんな、
まるであたしのことを
心配してるみたいな言葉かけないでよ、
どうせみんな
なにかあると離れていくんだから。
あたしは小さい頃から
"孤独"って言葉を知ってるの。
闇に落ちても
誰も手を差し伸べてくれない、
だから自分が
強くなるしかなかった、
人への
頼り方なんて
教わってこなかったの、
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!