〜翌日の朝〜
俺はたまたま早く起きたので、斗真を起こし散歩に行こうと誘った。
転がるとすぐにスヤスヤと寝息を立てる。
俺は溜息をつき、一人で家を出た。
ふと前を見ると、赤い何かが付着している木を見つけた。
何だあれ…
俺は気になりその木の近くまで行く。
木は中庭にあり、門を通って行かないと見に行くことは不可能だ。
呟き中庭へと向かう。
木に付着している赤かったのは血。
そこには首の切断面がしっかりと見ることが出来る、女の人の死体があった。
な、何だこれ!?首がない!!
周りを見渡すと低木の根元辺りに黒いボールみたいな物を見つけた。
俺はそっと近づき見ると…
………それは加奈子の顔をしていた…。
加奈子が死んだと認識した途端、俺はその場を走り出していた。
誰か…誰かに早く伝えないと…!!!
今はまだ朝の5時、こんな早朝に起きている奴なんているか!?
ふと、俺は森の方へと視線を向けてそのまま森の方に向かって走り始めた。
5分程で森に着く。
俺は息を切らしながら掠れた声で叫ぶ。
少しすると、隣の木の上から声が聞こえる。
いつもかなり早く起きて、森で遊んでいる。
そんな舞にとって、この時間に誰かに名前を呼ばれると言うことは珍しいのだろう。不思議そうな表情をしながら木からジャンプして着地する。
舞は呆れた表情を俺に向ける。
恐らく、舞は俺が寝惚けてるとでも思っているんだろう。だが、俺が見たのは本当だ。
言い終わったと同時に俺は舞の手を引いて、 山を駆け下りた。
山を駆け下り、加奈子の家に着く頃には俺は再び息を切らしていた。舞は全く切らしていない。
舞を押して中庭に入るとさっきと同じ光景。
俺は遂に限界に達し、中庭の隅に嘔吐した。
俺に駆け寄り優しく背中をさすってくれる。
舞は俺をその場に残して自分の家の方向へと走り去ってしまった。
〜約5分後〜
舞冬さんが走ってくる。
スグに後から舞がペットボトルを持って中庭に来た。
どうやら、ペットボトルは吐いてしまった
俺の為に持ってきてくれたようだ。
ペットボトルを受け取り飲む。
口の中に残っていた酸っぱい味が口の中から消えていく。
舞冬さんが舞に携帯を渡してる。
俺はフラフラと立ち上がり歩き始めるが舞が肩を貸してくれた。
舞冬さんは中庭から出て、村長の乙葉孝志のいる家へと向かった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。