第4話

最初の犠牲者
629
2018/05/12 23:03
〜翌日の朝〜
俺はたまたま早く起きたので、斗真を起こし散歩に行こうと誘った。
龍田斗真
えぇ…だりぃ……
倉持柊翔
別にいいだろ〜
龍田斗真
俺はまだ寝たいから柊翔一人で行ってこい。じゃ、おやすみ…
転がるとすぐにスヤスヤと寝息を立てる。
倉持柊翔
ったく……
俺は溜息をつき、一人で家を出た。
倉持柊翔
朝はやっぱ涼しい〜…
ふと前を見ると、赤い何かが付着している木を見つけた。
何だあれ…
俺は気になりその木の近くまで行く。
倉持柊翔
ここって…加奈子の家だよな…
木は中庭にあり、門を通って行かないと見に行くことは不可能だ。
倉持柊翔
失礼しま〜す…
呟き中庭へと向かう。
倉持柊翔
ひぃ!!何だよ、これ…!?
木に付着している赤かったのは血。
そこには首の切断面がしっかりと見ることが出来る、女の人の死体があった。
な、何だこれ!?首がない!!
周りを見渡すと低木の根元辺りに黒いボールみたいな物を見つけた。
俺はそっと近づき見ると…
………それは加奈子の顔をしていた…。
倉持柊翔
か、加奈子の頭…
加奈子が死んだと認識した途端、俺はその場を走り出していた。
誰か…誰かに早く伝えないと…!!!
今はまだ朝の5時、こんな早朝に起きている奴なんているか!?
ふと、俺は森の方へと視線を向けてそのまま森の方に向かって走り始めた。
5分程で森に着く。
俺は息を切らしながら掠れた声で叫ぶ。
倉持柊翔
…お、い…!舞、いるか…!?
少しすると、隣の木の上から声が聞こえる。
神崎舞
…僕のこと呼んだ?珍しいね、柊翔がこんな朝早い時間に起きるなんて。
倉持柊翔
ま、まぁな…
いつもかなり早く起きて、森で遊んでいる。
そんな舞にとって、この時間に誰かに名前を呼ばれると言うことは珍しいのだろう。不思議そうな表情をしながら木からジャンプして着地する。
神崎舞
どうしたの?かなり息が切れているけど…
倉持柊翔
か、加奈子が死んでる!
神崎舞
はぁ?何言ってるの?
倉持柊翔
そのまんまの意味だって!頭と体が離れてる加奈子の死体を俺は見たんだ!
神崎舞
朝から冗談が過ぎてるよ。
舞は呆れた表情を俺に向ける。
恐らく、舞は俺が寝惚けてるとでも思っているんだろう。だが、俺が見たのは本当だ。
倉持柊翔
それじゃ、舞も来て!
言い終わったと同時に俺は舞の手を引いて、                                                      山を駆け下りた。
神崎舞
え…本気で言ってんの?
倉持柊翔
マジなんだってば!!!
山を駆け下り、加奈子の家に着く頃には俺は再び息を切らしていた。舞は全く切らしていない。
倉持柊翔
こ、こっちだ…!
舞を押して中庭に入るとさっきと同じ光景。
神崎舞
え…
倉持柊翔
うっ……
俺は遂に限界に達し、中庭の隅に嘔吐した。
神崎舞
ちょっ、柊翔、大丈夫…!?
俺に駆け寄り優しく背中をさすってくれる。
倉持柊翔
誰か…伝えないと…!
神崎舞
に、兄さん起こしてくる!
舞は俺をその場に残して自分の家の方向へと走り去ってしまった。
〜約5分後〜
舞冬さんが走ってくる。
神崎舞冬
うわっ…
倉持柊翔
大人にも伝えてください…!
神崎舞冬
そうだね、分かった。
スグに後から舞がペットボトルを持って中庭に来た。
神崎舞
ほら、柊翔。これ飲んで。
どうやら、ペットボトルは吐いてしまった
俺の為に持ってきてくれたようだ。
倉持柊翔
ありがと…
ペットボトルを受け取り飲む。
口の中に残っていた酸っぱい味が口の中から消えていく。
神崎舞冬
舞、柊翔を連れて柊翔の家に少しお邪魔させてもらいな。
神崎舞
分かった…
神崎舞冬
あとこれ、直し終わったよ。
舞冬さんが舞に携帯を渡してる。
神崎舞
ありがと、柊翔行こ。
倉持柊翔
お、おう…
俺はフラフラと立ち上がり歩き始めるが舞が肩を貸してくれた。
神崎舞
それじゃ…兄さん、よろしく。
神崎舞冬
うん。
舞冬さんは中庭から出て、村長の乙葉孝志のいる家へと向かった。

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