第37話

本当の姿
492
2018/07/15 07:17
神崎舞
え、なになに?
その部屋には二つ、ソファがあり対談などに使っているらしい。舞を座らせ、その向かい側に俺と斗真が座る。
倉持柊翔
舞の言いたかったことはよーく分かった。
龍田斗真
つまりは思い出も全部消えて、
昔の思い出も無くて空っぽ状態
ってことだろ?
神崎舞
凄いざっくりしてるけど…
まぁ、そうなるのかな?
倉持柊翔
悠哉に舞に一人称が私だった頃
があるって聞いた。そのときは
どんな生活だったんだ?
神崎舞
う〜ん…馬鹿みたいに毎日雪奈
と燐翔と遊びまくって、みんな
と夏休みに何処か借りてクラス
全員でキャンプしに行ったり…
龍田斗真
その頃が凄い楽しかったなら、
それが舞の本心で本当の姿だっ
たんじゃないかな。
舞が考え込む。
神崎舞
……そうかもね、あの頃が一番
楽しかった。みんなはしゃいで
燐翔と夢を語って雪奈もそれを
応援してくれてさぁ…
そういう舞の目には涙が溜まっていた。
俺の弟は…燐翔は本当に舞と仲良しだったんだな…
神崎舞
けど、二人とも死んで…
龍田斗真
その燐翔君との夢は無理だった
けど、その代わりに舞が世界を
駆け回るっていう予定より遥か
に大きいことをしてるじゃん。
倉持柊翔
それに、約束したDEATH GAME
を終わらすって言う宣言も達成
だろ?
神崎舞
うん…
倉持柊翔
きっと、天国で喜んでいるよ。
神崎舞
…うん、そうだよね。天国は心
の中にあるんだから。僕が忘れ
ない限りは心の中で雪奈も燐翔
も生き続けるから…
天国は心の中にあるってことを思い出した
ように舞は口にした。


何かその言葉に思い出があるのかな?
龍田斗真
はい!結果を俺がまとめる!!
倉持柊翔
お、おう…
龍田斗真
結果は舞は元気いっぱいで人の
ことを思いやれる優しい男子!
倉持柊翔
っ…ww
神崎舞
斗真。ちょっと待て、一番最後
は関係ないと思うんだけど。
龍田斗真
はいはい、女子ですねw
大声で笑うのを我慢するように言う。
そんな斗真に呆れた表情を見せる舞だったがやがて、少し笑う。
神崎舞
けど、ありがと。そういうこと
言ってもらったら嬉しいかな。
俺は舞のその表情にクギ付けになる。
龍田斗真
柊翔?
神崎舞
ん?
倉持柊翔
え?あ、な、何でもない!
不思議そうな表情を向ける二人にそう言うと慌てて顔を逸らす。
思い出した…あの笑顔はあの頃の……
その時、俺は昔のことを思い出していた。
舞が村に来た時、俺達が案内して湖で遊んだあの時の笑顔だった。
その笑顔は優しみがあるとても綺麗な笑い方だった。そんな笑顔を持つ、舞が…
…好きになったんだっけ。
神崎舞
てか、このやり取り昔もした気がするんだけど…
龍田斗真
あ〜…あったな。確か舞が村に
来た時だっけ?
神崎舞
そうそう、湖に落とされた時。
龍田斗真
柊翔、2回目だけど?
倉持柊翔
何でもないっつってんだろ!!
俺は恥ずかしさを誤魔化すようにそう大声で叫んだのだ。

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