その部屋には二つ、ソファがあり対談などに使っているらしい。舞を座らせ、その向かい側に俺と斗真が座る。
舞が考え込む。
そういう舞の目には涙が溜まっていた。
俺の弟は…燐翔は本当に舞と仲良しだったんだな…
天国は心の中にあるってことを思い出した
ように舞は口にした。
何かその言葉に思い出があるのかな?
大声で笑うのを我慢するように言う。
そんな斗真に呆れた表情を見せる舞だったがやがて、少し笑う。
俺は舞のその表情にクギ付けになる。
不思議そうな表情を向ける二人にそう言うと慌てて顔を逸らす。
思い出した…あの笑顔はあの頃の……
その時、俺は昔のことを思い出していた。
舞が村に来た時、俺達が案内して湖で遊んだあの時の笑顔だった。
その笑顔は優しみがあるとても綺麗な笑い方だった。そんな笑顔を持つ、舞が…
…好きになったんだっけ。
俺は恥ずかしさを誤魔化すようにそう大声で叫んだのだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。