最初の1、2回は泣いたが3回目以降になると
泣くことは無くなった。
これが僕から涙が消えた理由。
毎日、殴られ僕の心は次第に潰れる。
完全に潰れたその時、僕は心の中にポッカリと黒い大きな穴が空いたような気がした。
蒼香と離れたのは6歳。
僕はまだ幼かったけど、家出をした。
自分の携帯、財布そして困らせてやる為に
お父さんのお財布も持っていった。
あいにく、通帳の番号等は知っていたために生活に困ることは無い。
服がボロボロになれば、買う。
身体が汚れてきたら銭湯に行けばいい。
洗濯はコインランドリーに行った。
夜は誰にも見つからないように森で寝た。
そして、続けること3年間。
ずっと歩いた僕は家からかなり遠くにいた。
そして、山に迷い込んでいた。
バッグに携帯を仕舞い、川に沿って歩く。
すると、突然降ってきた大量の雨。
スグに離れようとしたが、遅く僕は川に呑み込まれてしまい意識を手放した。
誰かに揺すられた感覚があり、目が覚める。
どうやら、運が良く河原に流れ着いたようだ
この時、柊翔と斗真が発見したらしい。
体が凄く熱い…熱出したかな……
斗真が呼びに行き、3人が来る。
すると、柊翔が手を差し伸べた。
柊翔の手を掴み立ち上がる。
しかし、その瞬間。フラつきそのまま柊翔の方に倒れた。
美琴が持っていたのは僕のバック。
僕を背負うと夏稀さんは歩き出す。
その後ろに柊翔達もついてきて、僕について話しているのが聞こえる。
僕は集会場の2階に連れて行かれた。
毛布を貸してくれてそれを羽織る。
頭がぼーっとして、体がだるい。
どうやら、この夏稀さんって呼ばれた人が、子供の中でも年上の方みたいだった。
すると、湊と呼ばれた男子が大人の男性を
連れて来た。
こうして、僕は村のことを知った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!