第34話

移住 side神崎舞
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2018/07/15 10:37
湊のお父さんは紙を持っている。
乙葉孝志
こんにちは、ここの村長の乙葉
孝志といいます。君の名前は?
神崎舞
…神崎舞、9歳です。
乙葉孝志
舞ちゃんね、お家の人はどうし
たのかな?
神崎舞
家出したから知らない。
乙葉孝志
え…
赤井夏稀
じゃ、じゃあ、1人でここまで
来たの?
神崎舞
うん…
乙葉孝志
9歳で家出か…
赤井夏稀
ん〜…どこら辺に家があるとか
は分かる?
神崎舞
えっと…
僕は家がある地域の名前を言う。
すると、二人とも驚いた顔になった。
赤井夏稀
孝志さん、舞ちゃんが言ってる
場所ってかなり遠いような気が
するんですが…
乙葉孝志
気がじゃなくて遠い…
赤井夏稀
お家の人に連絡とかは出来る?
神崎舞
携帯が壊れてなければ…
バックを自分の方に寄せ、漁る。
見つかり運良く電源が入った。
着信履歴なら何百件も来ている。
僕はそれを全て無視していた。
電話帳を開いて手を止めた。
お父さんにかけるか、お母さんにかけるか…
…それとも……
僕の指は自然と『兄さん』を押していた。
呼び出し音が鳴り、ワンコールで出た。
神崎舞冬
『舞!?今何処にいるの!?』
神崎舞
川に流されて村に流れ着いた。
神崎舞冬
『村?なんてとこ?』
神崎舞
えっと…
携帯から耳を離して、夏稀さんを見る。
すると、夏稀さんが小声で…
赤井夏稀
ね、変わって貰ってもいい?
神崎舞
うん…
携帯をスピーカーにして、夏稀さんに渡す。
赤井夏稀
すいません、変わりました。
村の子の赤井夏稀といいます。
神崎舞冬
『え、あ、ごめんなさい!妹が
迷惑をかけてしまって…』
赤井夏稀
いえいえ、ここは五十嵐村。
場所は…
夏稀さんが場所を話している。
神崎舞冬
『そんな遠くに…』
赤井夏稀
舞ちゃんはどうすればいいです
か?ここからそちらにお送りす
るでもいいですが…
すると、兄さんはとんでもないことを言った
神崎舞冬
『…すいません、村に空いている家とかってあります?』
赤井夏稀
え?家ですか?
神崎舞冬
『はい。』
赤井夏稀
孝志さん、あります?
乙葉孝志
ああ、一件誰も使っていない家
があるな。
赤井夏稀
一件あるそうですけど…?
神崎舞冬
『それじゃあ、そこに引っ越し
をしてもいいですか?』
神崎舞
はぁ!?
赤井夏稀
い、いいですけど…
神崎舞冬
『神崎舞冬と申します。3日後
には着くと思うのでそれまで、
妹のことをお願いしても大丈夫
ですか?』
赤井夏稀
わ、分かりました!
神崎舞冬
『よろしくお願いします。』
そして、電話が切られる。
神崎舞
ほ、本気で言ってる…
乙葉孝志
声からして若そうだけど…君のお兄さんは何歳なんだい?
神崎舞
……じゅ、13歳…
赤井夏稀
13!?
乙葉孝志
生活費とかは大丈夫なのか?
赤井夏稀
私に言われても…
乙葉孝志
取り敢えず、舞ちゃん。君は熱
を出しているみたいだし、お兄
さんが来るまではこの部屋を使
いなさい。
神崎舞
ありがとうございます…
赤井夏稀
それじゃあ、私がその間は面倒
を見ますよ!
乙葉孝志
お、夏稀ちゃんありがとう。
その後、少し会話すると僕は横になった。
凄いいきなりのことなんだけど…
まさか、この村に移住することになるって…

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