第40話

寄生虫の暴走 side園宮猛
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2018/07/15 22:25
僕は部屋で本を読んでいた。
すると、いきなり……
……部屋の中のパソコンが動き出した。
園宮猛
え?
画面を見ると、DEATH GAMEのケタル虫を
操るアプリが勝手に開いていた。
園宮猛
どうしてこのアプリが…
7回目のDEATH GAMEが終わり、神崎舞の勝利
だから、ケタル虫を操ったこのアプリは消去した筈だ…
画面には『ダウンロード中… 100%』
その瞬間、久しぶりに見た入力画面が出る。
画面を見ていると、勝手に文字が入力される
米印のあとに続く4つの文
『これは世界中の全人類が対象です』
『命令1まで続きます』
『命令に背いた場合は全人類に罰を与える』
『命令に服従すれば我々は完全消滅する』
園宮猛
これはまるでケタル虫が自我を
持ったみたいに…
"我々"…おそらく、ケタル虫のこと。
まさか、2年間で全人類まで寄生したのか…
どれどれ、肝心な命令は…
入力されていく画面。
『かんz|』
『神崎舞はsh|』
神崎舞?あの子が関係あるのかな?
『神崎舞はし|』
そこまで見て僕は内容が予想出来た。
園宮猛
ま、まさか……
『神崎舞は死ね』
次に内容確認画面が出てくる。
そして、勝手にカーソルキーが出て、矢印が[送信]に動く。
園宮猛
いやいや、ちょっと待て!!
慌ててマウスを手に取った瞬間、[送信]が押された。
次に『送信完了』と出て、僕は言葉を失う。
すると、僕の携帯もメール着信音が鳴った。
園宮猛
早く取り消しを…!
取り消し操作を行うが、肝心な最後の一押しがどうしても押せない。
園宮猛
何でだよ!!
マウスを床に投げ捨てる。
僕は神崎舞に伝える為、電話をかけた。
神崎舞
『もしもし?』
園宮猛
僕、園宮猛だ。
神崎舞
『あぁ、どうしたの?』
園宮猛
今さっき着たメール、見た?
神崎舞
『メール?ちょっと待って。』
電話の向こうで「悠哉、携帯見せて。」って
声が聞こえる。
神崎舞
『え…何これ……DEATH GAME
は終わったんじゃないの…?』
園宮猛
それが暴走したんだ…僕は今回
命令を送っていない。つまり、
ケタル虫が今まで生き残り続け
た君を殺すつもりだと思う。
神崎舞
『そっか……残念だなぁ…』
園宮猛
…これは僕の責任だ。だから、
出来るのなら君が滅びようでも
僕を含め全人類が滅びようでも
構わない。…それは君が考えて
くれ。本当にすまない……
神崎舞
『うん、大丈夫。それじゃ…』
そう言って、神崎舞は電話を切った。
神崎舞の性格だときっとする行動は……
予想を立て終わったところで、携帯が鳴る。
見ると、やはり『服従確認』という一文…
園宮猛
やっぱりそうしたのか…
僕は部屋を出て、物置部屋に入る。
確かここに…
そう言って手に取ったのは縄。
縄を持ち、自分の部屋に戻り、縄を天井の
照明に引っ掛け輪を作る。
僕は命が懸かった約束を破った。
命懸けのゲームを終わらすって約束をして、
終わらせた筈なのに、一人の命か全人類の命
をかけられ彼女は全人類の命を迷わずに選択をした。
それが、僕がいつも見たDEATH GAMEで一番
彼女らしい戦い方だ。
いかなる時も自分のことは後回し。
散る時の自分の命さえも全人類に捧げた。
おそらく、彼女は全人類の英雄となるだろう
僕は…約束を破った償いをしようか……
そう思い、首に輪を掛けると踏み台から足を離した…
















気が付くと真っ黒な門の前。
園宮猛
地獄の門か…
勝手に扉が開くと、鬼の手のような物が僕の肩を掴もうとする。
しかし、僕はその手を払った。
園宮猛
引き摺りこまなくても、自分で
裁かれに行くさ…
そして、僕は門の中へ足を進めたのだった…

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