
第17話
自殺
菜央さんは俺達の隠れる茂みまで近づくと、
手でそれを割った。
どうやって逃げるかを考えていると、斗真が先に口を開いた。
菜央さんは土を埋めた場所に向かって歩いて行った。俺達は顔を見合わせ、ついていく。
菜央さんは泣いていた。
とても悲しそうな表情で。
菜央さんは近くにある、石を積み上げてる。
そして、両手を合わせて瞼を閉じる。
俺と斗真も同じようにした。
今一度、鈴香に手を合わせ俺達は山を下る。
菜央さんは…いい人なんだな。
鈴香を助けることが出来なくて、感情に呑み込まれて茂雄さんを殺してしまって…けど、
そんな殺してしまった相手でもちゃんと埋葬はしてあげて…
そんなことを考えながら山を下り、村に戻ると、集会場が騒がしい。
走って近くまで行くと、顔が真っ青な優太が運ばれてくるのが見えた。
そうか…まだ村のみんなは知らないんだ。
鈴香が、茂雄さんが死んだってことを…
少し我儘を言い、誰もいない俺の家に帰る。
こんな皆が毎日死んでいくのを見るとか…
もう、気が狂いそうだよ……
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