第36話

本心は? side神崎舞
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2018/07/15 10:38
新しい家に帰り、服を着替えると僕は兄さんのところに向かった。
神崎舞
ねぇ、兄さん。
神崎舞冬
ん?
神崎舞
何で兄さんは僕を連れ戻さない
でこっちの村に来たの?
神崎舞冬
う〜ん…
兄さんが少し悩んだように頭を抱える。
神崎舞冬
…僕も本当は嫌だったんだ。
神崎舞
何が?
神崎舞冬
お母さんじゃない人を妹達には
お母さんと説明するのがさ…
だから、舞にかなり驚いたよ。
美波さんが本当のお母さんじゃ
ないって言い始めた時。
神崎舞
声が違かったから…
神崎舞冬
うん、声は似てるけど違うね。
美波さんに頼んで僕達が過ごす
資金は払ってくれるし、学校も
行ける。蒼香にはうまくいって
くれるってさ。
神崎舞
そっか…
神崎舞冬
…フードはもう取った?
神崎舞
ううん…湖に落ちた時も取って
ない。何か頭を出すのは嫌で…
神崎舞冬
そう言うと思って、用意してみたんだけどどうかな?
そう言い、兄さんが取り出したのはウィッグ
僕と同じ黒髪のショートカット
頭を出すのは苦手なんだよね…
そう思い、ウィッグを受け取る。
その日から僕は髪のことを隠すようになった









さて、これから僕の村生活が始まるけど…
これじゃあ、ただの過去話だね。
僕についてを一回まとめてみようか。
僕の名前は神崎舞。年齢は今現在20歳。
家族構成は父、偽物の母、死んだ妹と兄。
過去は6歳で異変に気付き、その後暴力を受け家出。9歳で五十嵐村へ。
そこ出会ったのが柊翔と斗真。僕の幼馴染。
勿論、二人のことは大好きだ。
友達は沢山いた。そして、みんな失った。
何も守れずにどんどん死に、僕は一人。
けど、崖から落ちた時にみんながいなかったらきっと今、僕はここでこの話をすることはないだろう。僕はみんなのおかげで生きることが出来ている。
本当に感謝してる、そして申し訳ない。
問題は僕の性格。
みんなから見た僕はどんな人に見える?
運動大好き?男っぽい?様々だと思う。
正解は……分からない。
さっき話した虐待の話。
あれにより僕の心はズダボロになった。
そして、そのまま本当の感情を忘れた。
笑っても「心から笑ってる?」と聞かれたら何とも言えないのが実際の所。
兄さんなら僕の性格が分かったかもね。
けど、この世にはもういない。
つまり、僕の心を知る人なんていない。
誰も……そう、自分自身も…
……まぁ、いいのかな。これで。
そう言って、舞ちゃんは顔を上げる。
その表情は目が虚ろで軽く溜息を吐いてる。
神崎舞
はぁ……これでおしまい。
佐野悠哉
……。
重い空気が辺りを包み込む。
そんな中、柊翔と斗真は顔を合わせ、何かを話し合っていた。
龍田斗真
ね、舞。
神崎舞
何…
倉持柊翔
ちょっと来て。
柊翔と斗真が舞ちゃんの返事を聞く前に隣の部屋に連れて行ってしまった。
美竹友紀
…全て繋がっていたんだね。
星野弥生
ですね…結花さんのピンも舞の
物でしたし…
佐野悠哉
それにしても…あの二人は何を
する気なんだろう…

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