15才の誕生日を迎えた冬。
受験勉強をしていた私にある電話が掛かってきた。
私はそのときなにもできなかった。
なにも分からなかった。
鼓に引っ張られた手が震えていたのは憶えている。
父と母はいなくなった。
父と母は駆け落ちの身だったため祖父母とは疎遠していた。
だが、私は別で跡継ぎとなる人生を歩ませるためボディーガードとして榮宮鼓が送られてきた。
結局、父と母が亡くなっては身を置く場所がないため、祖父母に引き取られた。
だが…
差し出されたパンフレットにははっきりと刻まれていた。
“私立” って。
そんなのどうでもいい。
早く1人になりたい。
お母さんもこうだったのかな。
通裕、夕日は私の両親だ。
お祖父さまは俯き、表情を引き締めた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。