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第2話

事故
106
2018/03/03 15:56
国府宮万誉
国府宮万誉
お父様とお母様…が…?
15才の誕生日を迎えた冬。
受験勉強をしていた私にある電話が掛かってきた。
榮宮鼓
榮宮鼓
お嬢…?どうした…?
国府宮万誉
国府宮万誉
お父様と…お母様が…亡くなったって…
榮宮鼓
榮宮鼓
…え?
…どこの病院?
国府宮万誉
国府宮万誉
すぐそこの大学病院…
榮宮鼓
榮宮鼓
タクシー呼ぶから行くぞ。
私はそのときなにもできなかった。
なにも分からなかった。
鼓に引っ張られた手が震えていたのは憶えている。

父と母はいなくなった。
国府宮万誉
国府宮万誉
お父様も…お母様も…もういない…
榮宮鼓
榮宮鼓
何言ってんだよ。俺がいる。
国府宮万誉
国府宮万誉
…ありがとう。
父と母は駆け落ちの身だったため祖父母とは疎遠していた。
だが、私は別で跡継ぎとなる人生を歩ませるためボディーガードとして榮宮鼓が送られてきた。
結局、父と母が亡くなっては身を置く場所がないため、祖父母に引き取られた。


だが…
お祖父さま
ココに来たからには普通は許されぬ。
学校はここへ行け。
差し出されたパンフレットにははっきりと刻まれていた。

“私立”  って。
お祖父さま
この学校はな、ワシの幼なじみの──
そんなのどうでもいい。
早く1人になりたい。
お母さんもこうだったのかな。
お祖父さま
真誉。
お前はこの家がどんな家か
通裕、夕日から聞いておるか…?
通裕、夕日は私の両親だ。
国府宮万誉
国府宮万誉
存じ上げません。
お祖父さま
そうか…
この家はな、神が宿った家なんじゃ。
国府宮万誉
国府宮万誉
…もう一度
仰っていただけますでしょうか?
お祖父さま
古くは遠い祖先。
今では女神という名の子孫。
それがお前だ。
国府宮万誉
国府宮万誉
…もし仮に私が神だとして
何があるんでしょう。
お祖父さま
それが…問題なんじゃ。
お祖父さまは俯き、表情を引き締めた。

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