第10話

【心】帰宅待ち
18
2019/01/10 06:24
栞那
栞那
早く帰って来ないかな
リビングのソファーに座りながら、私は時間が過ぎる度にため息を吐いた。
いつも、同居人の彼を待つ時間は苦手だ。
寂しさに浸食されそうで、テレビを付けてみるけれど番組が終わると彼のことを思い出す。
まだかな、とつい時計の針を見たり、ソファーに横たわる。
横型の長方形のテレビは身体を横向きにさせても不自由じゃない。
テレビの中では、バラエティー番組の出演者達は笑っていた。
番組を見つめていると身体を丸めてうずくまる。
栞那
栞那
まだか〜、まだなのか〜
我慢が出来なくなり、うぅーと小さく唸り声を出した。
私は両手を玄関の方へ向けて、彼が帰ってくるように念じる。
すると彼が来るんじゃないかと思い、玄関に引き寄せられた。
ソファーをおりて廊下を歩く。
玄関先まで来ると外からスタスタと足音が聞こえてきた。
家の前でピタっと足音が止まり、期待が高まる。







ガチャ。
優也
優也
ただいま
栞那
栞那
お帰り〜!
優也が帰ってきた。
待ちに待った人が現れて、嬉しさのあまりに飛び付いてしまう。
優也
優也
ちょっ、いきなりだな。 寂しかったか?
栞那
栞那
うんうん、寂しかった〜
飛び付いたあとは優也にしがみついて離れない。
いきなり突進してきた栞那に驚いた優也だが、怒りもせず、優しく受け止めてくれた。
そのあと数分間、玄関先で2人は抱き締め合うのだった。

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