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とまどいながらそっとブレザーを掴むと、
先輩はペダルに足を乗せた。
自転車がぐんっと動き出す。
こんな風に2人乗りをするのは初めてだ。景
色が勢い良く流れていく。
桜の花びらが私達の横を流れていって、まる
で夢のような景色のよう。
心臓がドキドキいっているのが分かる。
新しい環境で、なにか素敵な事が起きればい
いなんって思ってたら。
だけどこんな、、、ドラマチックな事が起きるな
んて、今朝起きた時には思いもしなかった。
中学校の正門が見えてくる。花の飾れた校門
は華やかで、新入生らしき姿がまだあって、
私はほっとした。
もう着いちゃった……。
いやいや、遅刻しなくて済んだのはいいんだ
けど、、!何故か残念だなって思っちゃっ
た。
靴箱に千穂ちゃんの姿が見えた。
千穂ちゃんが大きく手を振っている!
先輩が靴箱の前に自転車を止めて、私は荷台
から降りた。
前田千穂ちゃん。ショートボブがくりっとし
てて、かわいい女の子だ。
あっ、そういえばまだ先輩にお礼言ってな
い!
振り返るとそこにはもう先輩の姿はなくて、
少し離れた所で腕章をつけた男子生徒と話し
ていた。
そう話す千穂ちゃんの胸ポケットには、綺麗
な造花が挿してある。
千穂ちゃんが指差したのは、自転車の先輩と
話している腕章の人。腕章には『生徒会』っ
て書かれてて、花を渡す係みたい。
先輩達にどう声掛けよう!?急がないと入学
式始まちゃうのに、、、
千穂ちゃんに、せかされてるうちに、先輩が
自転車を置いて近ずいてきた。
固まっている私の前に立つと、笑顔で造花を
差し出してくる。
──────────
ごめん、、、切るわ( ˙-˙ )
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。