何気ない日常。
それがあたりまえだった。
別に他の人と違うことも何も無い
普通の人間だ。
毎日訪れる『平凡』に飽きていた私は
特にすることも無くフラフラ歩き回る。
今日もまた、何もせずに一日がおわるんだ。
そう思っていた
何も考えずに外に出た矢先、家の前のポストに
少し黄ばんだ、ヨレヨレの手紙が入っていた。
赤い何かで留められた、長方形の手紙。
宛先には あなた様
…………たったそれだけだった。
手紙の内容はこうだ。
――― ――― ―――
親愛なる:あなた 様
貴方を当荘園に招待します。
ある"ゲーム"に勝てば賞金など
貴方の望むものが得られます
――― ―― ―――
誰からなのか。何なのか。
分からないけれど好奇心で私は手紙に書かれた
"荘園"へ向かった。
同封された地図のようなものだけを頼りに来たので
『方向音痴』の私には来た道がわからなかった
おそらくここだろうという建物は
広く、そして暗かった
ここまで来たのはいいが、中に入っていいのか
というかあってるのか
好奇心と勢いだけで来たので手ブラだし。
かといって引き返せる訳が無い。
だって来た道わからないのだから。
大きく重い門は『ギィ──』という音とともに開いた。
広く大きな建物にはいくつかの部屋に灯りがあるように見える。
ふぅ……と息を吐いたあと、思い切って扉を開けた。
扉の先は大きな広間のようなとこ。
人の気配はないが暖かく、部屋がいくつもある。
だが誰もいない。おそらく誰かは何処かにいるのだろうけど。
どうしようか。と立ち尽くしていると
『ガチャ』という音が後ろから聞こえた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!