あなたが目覚めないまま1週間が経った
その日は委員会のせいで病院に行くのが遅れてしまった
今、この間に心臓の動きを示すあの機械が止まってしまうかもしれない
またあの苦しみを味わうの?
嫌だ
もう、二度とあなたを失いたくなんてない
もう一度、あなたに僕の声が届いてくれないだろうか
そしたらもしかしたら起きようって思ってくれるかもしれない
病院に入って、何度も顔を合わせた看護師に挨拶をしていく
エレベーターを待つ時間も惜しいから階段を駆け登る
「なるほど」
「それでね、〜〜」
足が止まった
確かが声が聞こえる
栗花落さんとは他の、何よりも愛おしい声が
足の力が一気に抜けて、あと3段の階段が登れなくなった
後ろから炭治郎が登ってきた
なんとか体制をなおして残りの階段を上り、その病室に入る
やっと
やっと見つけた
僕の、最上級の幸せを
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!