第101話

Naoki 2
824
2022/06/12 13:54



「お前あなたのこと好きなんやろ。」



あれから数日後、同じ劇場の楽屋で急に河井さんがそんなこと言うから、飲んでたお茶吹き出しそうになる。



「…河井さんもでしょ。」



「河井さんも、ちゅうことは好きなのは認めるんやな。」



「別に勝手に憧れてるだけなんで誰にも迷惑かけてませんもん。」



河井さんがニヤニヤしながら俺のこと見てる。



「なんですか、自分がイケメンやからって、」



「いや、ちゃうて、今度飯誘ってみたらええやん。」



「こないだ誘おう思たのに河井さんが先言うたから。」



「あ、そうやったん。ごめんな、知らんかったからさ。」



「別にもういいですけど。」



しょうもない兄弟喧嘩みたいな言い合いをしてると、ちょうど楽屋にあなたさんが入ってきた。



「おはよ〜。」



「おはよ。」



「おはようございます、」



「あなた、なんか稲田がお前に言いたいことあんねんて。」



「は?」



「え、なになに。」



「ちょっと河井さんほんまに性格悪いですよそれは。」



「ええからはよ言わんかい。」



「なによ、めっちゃ気になる!はよ言うてっ。」



最悪や、河井さんまたニヤついてるし、あなたさんもおもろいこと期待して目キラキラさせてるやん。



「いや、、、あの、今日、ご飯行きませんか。」



「…私と?二人で?」



「嫌やったら全然、あのー水田さんとか誘うんで大丈夫です、すんません…」



「嫌ちゃうよ!嬉しい!稲ちゃんから誘ってくれるの珍しいし。」



にこにこしながら俺を見るあなたさん。



…あれ、なんか思ってた反応とちゃうな。







「よかったやん。」



「よかったやん、じゃないんですよ。」



あなたさんが楽屋を出て、河井さんが他人事みたいに言うから、ちょっとだけ睨んだ。



「ほんまは僕みたいなんから誘われたくなかったけど、河井さんがいる手前断られへんかっただけかもしれませんやん。」



「そういうことする奴ちゃうのよう知ってるくせに。」



「そうですけど…。」



「まぁ楽しんできたらええやんけ。」



「ていうかなんで僕の背中押してるんすか、ライバルにもならんってこと?」



「いや、そもそも俺あいつのこと好きて一言も言うてないし。」



「えっ、あんなに仲ええのに?」



「おん。仲ええのは同期やからってだけやて。」



まさかの真実にびっくりしつつ、ちょっと安心もした。


河井さん相手なんか勝てへんもん、、、



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