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仕事終わり、指定されたお店に着くと、すでに濱家さんが個室で待っていた。
「お疲れ〜。」
「お疲れ様でーす!」
とりあえず乾杯して、緊張を隠すようにぐいっとビールを流し込んだ。
「(なまえ:名字)ちゃんお酒強いの?」
「いや、そんなには強くないです。好きですけどね。」
「そうなんや。ほなあんま早いペースで飲まんときや。」
「はい、ありがとうございます!」
仕事の話や、趣味の話、お酒の話、、、たくさん濱家さんのことを聞けて、嬉しくてつい飲みすぎてしまう。
1時間半くらい経った頃には、結構酔っちゃってフラフラしていた。
「もうやめとき、そろそろ帰ろ。」
濱家さんにグラスを奪われて、少し支えられながらお店を出る。
空車のタクシーが通るのを待つ間、濱家さんに寄りかかるように立っていると、そっと腰あたりに腕を回して支えてくれた。
こんなに密着するの初めて…
ドキドキしながらそっと濱家さんを見上げると、私の視線に気づいた濱家さんもこっちを見た。
「大丈夫?」
目が合って、離せなくて、吸い込まれちゃいそうで。
「…濱家さん、私、濱家さんことが、」
好きなんです。
そう言いかけた時、タクシーが停まった。
それと同時に私も我に帰って、パッと濱家さんから離れる。
「…先乗り、俺次来たの乗るし。」
「はい、…今日はありがとうございましたっ…」
変な空気になったこの場を早く離れたくて、素早くタクシーに乗って家に帰った。
危なかった…好きって言いかけたよ私。
お酒が入って素の私になって再確認した。
先輩だからってだけじゃなくて、やっぱり本能的に濱家さんが好きなんだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。