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第106話

Ryuichi 4
368
2022/07/02 11:37



あれから1ヶ月くらい経って、今日はバラエティ番組の収録の日。


出演者の中にはかまいたちさんもいた。


濱家さんとは劇場で一緒になることはあったけど、挨拶だけでお話することはなかった。



この1ヶ月で濱家さんへの気持ちは大きくなるばっかりで、私は今日、勇気を出して好きだって伝えるつもりでいる。




「はい!オッケーでーす!お疲れ様でした〜!」



無事に収録が終わり、一旦楽屋に戻る。



私服に着替えて髪を整えて、いそいで濱家さんの楽屋に向かう。



楽屋がある廊下の角を曲がろうとした時、濱家さんと共演した女性タレントさんの話し声が聞こえてきて、思わず立ち止まった。



「…が好きなんです、私。」



「ほんまに?俺も好きやで。」



「ほんとですかっ?」



「うん。」




途中から聞こえた会話に心臓がドクンと跳ねた。

聞いちゃいけない話を聞いちゃったような気がして、思わずバタバタと走ってその場を離れてしまった。



「はぁ、っ…」



とりあえず自分の楽屋に戻って、息を整える。



…好きって、言ってた。


たしかにあのタレントさん、可愛らしくて男性うけしそうだったもんなぁ。


芸人の私よりも女性らしくて、素敵な人なのは明らかだ。


せっかくリリーに自信をもらえて、勇気を出したのに一気にそれがなくなっていくのがわかった。



____コンコン



「おる?開けるで、」



「えっ、」



楽屋で一人落ち込んでいると、ノックと一緒に濱家さんの声がして、私が返事をする前にドアが開いた。



「よかった、まだおった。」



「お、お疲れさまです…」



合わせる顔もなくて、顔を伏せたまま返事をする。



「なぁ、」



「…はい。」



「さっき何か聞いたんやとしたら、それは勘違いやから。」



「え、?」



「ワインの話してただけやから。」



「….、」



「あとさ、こないだ何言おうとしたん。」



「ちょ、濱家さん、」



「タクシー待ってる時。覚えてない?」



私の返事なんて聞かず、どんどん話を進めてしまう濱家さんに戸惑う。



「俺のことが、何?」



「何って…」



「その続き勝手に期待してもうてるんやけど。」



思ったよりもしつこい濱家さんに詰められて、もうどうにでもなればいいと、気持ちを白状することにした。



「この話聞いても、これまで通り先輩後輩でいてくださいよ。」



そう前置きをして、素直に伝える。



「濱家さんのこと、最初はただ好きな先輩だと思ってたのに、気付いたら好きな人になっちゃってました、あの日言いかけたのは、濱家さんが好きってことです、勝手に好きになってすみません。」



ここまで一息で一方的に気持ちを伝えて、私は逃げるように鞄を掴んで楽屋を出ようとした。



「待って、俺の話も聞いてよ。」



「嫌です、私のただの独り言なので無視してください、」



「先輩後輩でおるのはもう無理やで、そんなん聞いたら。」



「っ、…」



あーあ、終わった。


だから言いたくなかったのに。言うべきじゃなかったのに。



「俺も好きやもん、(なまえ:名字)ちゃんのこと。」



「…え?」



「好きやから、もうただの後輩には見られん。」



「なん、で…」



「俺と付き合ってください。」



「うそ、」



「嘘ちゃう、」



掴まれていた腕をぐっと引かれ、気付けば濱家さんの腕の中にいた。



「あ、の…私、」



「ん?」



「すっごい恥ずかしいこと、言いましたよね…」



「俺のこと、好きな先輩やなくて好きな人になっちゃったんですってやつ?」



「ちょっ、はっず….」



「可愛い、めっちゃ可愛い。俺もお前のこと好きな後輩から好きな子に変わってん。」



「だから恥ずかしいですってその台詞、」



ずっと濱家さんに抱きしめられながらの会話。


信じられなくて、謎に冷静に会話しちゃってる不思議。



「俺の彼女になってくれる?」



「…はい、もちろんです。」



まさか、私が濱家さんの彼女になる日が来るなんて。



「もうキスしたら早い?」



「はは、なにそれ。してください、いつでも。」



そっと離れて優しく笑いかける濱家さんと目が合うと、ゆっくり唇が触れた。



「こんなとこでファーストキスしたとか絶対内緒な。」



「ふふ、はい。」



自分に自信がなかった私の想いが実った瞬間だった。





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リクエスト頂いていたお話です!自己肯定感の低い主人公と濱家さんのシチュエーションでした。ほんっっっとうにお待たせしてしまい、申し訳ございません…!気に入っていただければ幸いです。ありがとうございました!