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第110話

Kenshiro 4
421
2022/07/04 12:17



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なんとなく酔えないまま、1時間くらいが過ぎた。



「まだ時間いける?」



「え、あ、うん。」



いつも一軒行って解散なのに、もしかして今日に限って二軒目行くのかな。



「俺んちで飲まへん?」



「え…」



「いや、仕事で一緒になった人に貰ったええお酒あんねんけど、あなたちゃんどうかなぁて。」



なんか今日あんまり酔うてないやろ?って、私の気持ちを見透かす川西さんに、素直に頷くしかなかった。



「よし、ほな行こか、タクシーですぐやから。」



「…はい、」



お会計をして、タクシーに乗り川西さんのマンションに向かう。



「あんまり片付いてないけどごめんな。」



「全然気にしないから大丈夫です。」



車内でいつも通りを装って喋りながら、これから川西さんのおうちに行くんだと思うと、ドキドキする気持ちが止まらなくて苦しくなった。





「どうぞ。」



「お邪魔します、」



マンションに着いて部屋に入り周りを見渡すと、いつも自然体で男っぽい川西さんらしいお部屋だった。



「ワインなんやけどさ。」



「うん。」



グラスとワインのボトルを持ってきてくれた川西さんと隣同士で座る。



「はい、乾杯。」



「乾杯、いただきまーす…」



一口飲んで、すぐにいいワインだってわかったし、めちゃくちゃ私の好みの味だった。



「おいしい!」



思わず隣の川西さんを見ると、くくく、と笑う彼。



「なんで笑うんですかっ、」



「いや、わかりやすくテンション上がってくれたからさ。今日、あんま元気なさそうやったし。」



そう言って、優しい眼差しを向ける川西さんにまた胸がぎゅぅっとなる。



「なんかあったん?」



距離を詰めて顔を覗き込んでくるから、二人の間にはあと十数センチしかない。



私はこの人が好きだ。



だけどもう川西さんには会わない。会えない。



そう思ったら泣きそうになって、思わず顔を背けた。



「今日で、会うの最後にした方がいいです、川西さんのためにも。」



「え、なんで急に。」



「芸人さんなんでしょ…?」



私がそう言うと、川西さんは少しびっくりした顔をした。



「ごめん、隠すつもりもなかってんけど…変なフィルターかかって見られるのも嫌やったからさ。」



「いや…川西さんが一般人でも芸能人でも、素敵な人なのは変わりないです。…だけど私といると変な勘違いされたり、被害被るのは川西さんだから。だからもう私みたいなのとは、会わないほうがいいです。」



泣いちゃったら面倒くさい女だと思われそうで、必死に堪えて伝えた。



「…それ言おうと思ってたから今日元気なかったん?」



「、、、」



「男でも女でも俺が付き合う人は俺が決めるから。勝手に決めんといて。」



聞いたことのない、少し強い口調。



「あと俺、私みたいな、とかいう言い方嫌いやねん。」



「…ごめんなさい、」



「いや、ごめん俺も。….こっち向いてくれん?」



私の頭にぽん、と置かれた川西さんの手があったかい。



「あなたちゃん、」



静かに名前を呼ばれ、ゆっくり顔をあげる。



「泣くほどしんどいんやったら、そんな寂しいこと言わんといてよ。」



「…だって、っ」



「俺はあなたちゃんが好きで一緒におるし、家にも呼んでん。それでももう会われへん?」



真っ直ぐ見つめられて、涙をそっと指で拭われると、やっぱり川西さんへの気持ちが止められない自分がいて。



「はっきり言わへん俺が悪かった。ごめんな。」



ぎゅ、と体ごと川西さんに包まれて、どうしたらいいかわからない私の耳元で



「あなたちゃんが好きです。付き合ってください。」



ストレート過ぎる言葉を囁く川西さん。



その言葉を聞いて、余計に涙が溢れ出した。



「あぁ、もう、泣かんといて…」



子供をあやすみたいに、私が泣き止むまで背中をさすりながら落ち着かせてくれた。





「大丈夫?」



「はい…、」



「じゃあ返事、聞かして?」



「…こんな私でよければ、お願いします..っ、」



「んふふ、ありがとう。」




嬉しそうに笑う川西さんにつられて、私も笑顔になった。




「ほな飲み直そか、このワイン好きなんやろ?」



「はいっ。」



「あ、ちょっと待って、」



「え?…んっ、」



完全に気を抜いていた私に、突然キスを落とす川西さん。



「酔うた勢いでしたらもったいないから先しとこうと思て。」



にこにこしながらそう言って、固まる私をよそに川西さんはワインをグラスに注ぐ。



「不意打ちはずるい…、」



「今からするで、て言うたらよかった?」



「そうじゃなくて、」



私もキスしたいって意味。



「…っ、……まじか、」



不意打ちのキスをし返すと、私よりもびっくりした顔してる。




「…酒で誤魔化さんでもよさそうやな。」




「なにそれ..っんぅ、…」




グラスをテーブルに置いて、甘いキスを落とす彼にそのままソファに押し倒された。



アルコールなんかよりも強い刺激に酔いながら、長い長い夜を過ごしたのは、二人だけの内緒。




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リクエスト頂いたお話です!自己肯定感の低い主人公と川西さんのシチュエーションでした。気に入って頂けると嬉しいです!明日香さんリクエストありがとうございました。またお待ちしてます!