第3話

ゲームと君-志麻-
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2019/03/25 07:24
あなた

ねえ

志麻
志麻
...
あなた

ねえってば!も〜

テレビの青白い画面に、レトロなイラストのゲームがピコピコと音を立てている。
俺はそれに夢中になり、彼女が構ってくるのがうっとおしくて仕方なかった。
だって、モノマネをしてくるのだ。
あなた

おいましおさん

うらたさんのモノマネだったり
あなた

まーしぃ〜

坂田のモノマネだったり
あなた

なあ〜志麻くん

センラのモノマネだったり。
しかも微妙に似てるし。
特にセンラのあの絶妙な高さの声とはんなりさせるためのいい感じに鼻から息を抜く感じが本家にそっくりで...ってそんなこと言ってる場合ちゃうわ。
あなた

ねえ志麻k

志麻
志麻
うるさいねんお前!!!!!
モノマネ魂をくすぐられた上にしつこく構ってくるのでつい大声を出してしまう。
志麻
志麻
ほんまさっきからなんなん?!今厳しい局面なん見たらわかるやろ?!
あと微妙に似てるような似てないようなライン攻めてくんなや!!センラはよかったわ!
あなた

おっおう...ありがと

いやそこだけ反応すんのやめろや。
その時、ゲーム画面で爆発音が響き、GAME OVERの文字が表示された。
志麻
志麻
うああああああくっそ....
あと少しで難しい局面を乗り切ることが出来たのに。惜しかった。俺は唸り声をあげながら頭を抱える。
あなた

ご...ごめんなさい...

志麻
志麻
んん?
すっかりやる気をなくしスマホをいじり始めた俺は、彼女の一言で顔を上げた。
あなた

わたしがかまちょし過ぎたから...気が散って上手くいかなかったんよね、本当にごめん...

若干涙目。胸が痛んだ。
そしてはっと気がつく。俺は彼女のことを一切考えてなかった。
志麻
志麻
や、俺も悪い。ついゲームに夢中になってあなたのこと全然考えてなかった。...怒鳴ったりして、悪かった
あなた

...

志麻
志麻
...
気まずい沈黙が流れた。
俺は何とか彼女に笑顔になって欲しくて、彼女を引き寄せた。
こつん。
優しさそのものみたいな感覚と共に、おでことおでこがくっつきあう。
志麻
志麻
ごめんな。
あなた

...うん

至近距離で見つめ合ううちに、俺達は次第に笑顔になっていった。
志麻
志麻
マリカでも...しよか?
あなた

...私、あんま得意じゃないんよね

自信なさげな彼女。
志麻
志麻
ふふん。俺の彼女なら俺同様ゲームは上手くなくてはなりませんぞ。教えたるわ
あなた

なにそれーww

あなた

...ありがと///

少し時間が経ってから俺が言ったことを正確に把握する彼女。そんな所も好きだ。
志麻
志麻
何照れてんだよwww
あなた

て、照れてないし!!

そう言いながら自分の顔も熱くなっていることを感じる。それを誤魔化すように俺は笑った。
志麻
志麻
さ、マリカやるでー!!
あなた

おー!けちょんけちょんにしたるわー!

志麻
志麻
へぇ、さっき自信ないとか言ってたのに...?
あなた

そ、それは弱そうに見せるための策略よ!!

馬鹿みたいな会話をしながら、彼女は花のように美しい笑顔を咲かせた。

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